ユグドラシル聖戦記外伝

第一章 勘当に隠された陰謀




トラキア王国

「・・・・・・どこに行ったの!?」

一人の少女が城の中を走り回る。

「ミホ様・・・・どうかしましたか?」

廊下ですれ違った一人の女中が少女に尋ねる。

「お兄様を見かけませんでしたか!?」

「そういえば、さっきここを通ったような・・・」

「ありがとう!!」

そういうとミホと呼ばれた少女は再び走って去って行った。

「・・・・・これでいいのですか?コウヘイ様」

そう女中が言うと、上から少年が落ちてきた。

「ああ・・・・アイツもまだまだ詰めが甘いな・・・・」

「コウヘイ様・・・こんなことを言うのも何ですが・・・毎日毎日ミホ様から追いかけられて迷惑してないのですか?」

女中がそう言うとコウヘイと呼ばれた少年は間髪入れずに

「大迷惑だ」

と言った。どうやら彼にとってはこれが日常茶飯事らしい。

「何が楽しくて俺がアイツに追いかけられなきゃならない?アイツのお陰で最近はユーリにも手紙が書けやしない・・・」

そう言うとコウヘイはミホが通った方とは逆方向へ去って行った。




コウヘイはトラキア王国の王子でミホは彼の妹である。

この兄妹が喧嘩している理由だが、それは・・・

「お兄様がユーリ様へ送る予定の熊のぬいぐるみが欲しい!!」

と言う、売られた方のコウヘイとしては迷惑でしかならない理由であった。

「・・・・・これは送るまで追いかけてくるな・・・・・」

と、毎日毎日逃げ回りながらどうにかならないかとコウヘイは思うのであった。




「コウヘイ様・・・・クーパー様がお呼びになってましたが・・・」

会議室の前を通ろうとしていたコウヘイを大臣のワイアットが呼びとめる。

「親・・・もとい、父上が?」

「はい・・・・」

「わかった、父上は部屋にいるんだな?」

「はい」

コウヘイはすぐにクーパーの部屋の方へ行った。

「・・・・クックック・・・・」

コウヘイが去った後ワイアットはそう怪しげに呟くのであった。




「親・・・もとい、父上、入りますよ?」

「うむ・・・・・入れ」

コウヘイが部屋に入る。

「父上、俺・・・もとい、私に話とは?」

「うむ・・・・・最近、ミホとの喧嘩が絶えないようだな?」

「・・・・・・・はい・・・・」

「・・・・・国民にも噂が広まって大変なことになっているのは、知っているか?」

「いえ・・・・・」

「お前も知っての通り、あの子は城の中でこそ我侭だが、外に出るとおしとやかになるからな・・・・・この喧嘩もミホのせいではなく、お前のせいと言う風になっているのだ・・・」

「・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・これは私も不本意なのだが・・・・」

「・・・・この城を出て行け・・・と?」

「・・・・・・」

クーパーは何も言わなかったが、コウヘイは父親が何を考えているのかぐらいはわかった。

「・・・・わかりました・・・俺・・・・いや、私もこの窮屈な生活にうんざりしていたところです・・・・」

「・・・・!!コウヘイ・・・・」

「どこの誰が言い出したかは知らないが、出て行けと言うなら出て行いきましょう・・・」

「・・・・」

「今日の夜、みんなが寝静まった頃に出て行きます」

「・・・・・・それなら・・・・グンニグルも持っていけ」

「グンニグルを?しかし・・・」

「どうせ私とお前以外は使える者がいないのだ・・・・ならば私よりお前が持っていた方がいい・・・」

「・・・・・」

「・・・・はやく、必要な物の用意をしなさい・・・」

「・・・・・父上、この話を出したのは誰だ?」

コウヘイは半分普段の口調になりながらクーパーに尋ねる。

「・・・・・ワイアットだ・・・」

「・・・・・・・やはりか・・・・・」

「・・・・心当たりがあるのか?」

「・・・・・親父・・・あの大臣はどうやら良からぬ事を考えているらしい・・・勘当されるならそれなりの理由も必要だ・・・」

コウヘイはそう言うと部屋から出ていった。




深夜・・・・

「ここにも・・・・もう戻ることもないな・・・・」

コウヘイは感慨深そうに呟くと、置いてあった熊のぬいぐるみを袋に入れ、自室から出て行った。

中庭へ来たコウヘイが口笛を吹くと一匹の竜がコウヘイの元へ降りてきた。

「マグ・・・・・行くぞ・・・!」

コウヘイはマグの背中に乗ると城から飛び立って行った。




ワイアットの家

「クックック・・・クーパーとコウヘイさえ消えれば、あとは馬鹿なミホだけだから私が実権を・・・・・・・!?」

「その話、もっと詳しく聞かせて欲しいな・・・・」

一人で陰謀を企んでいるワイアットの部屋に入って来たのはコウヘイであった。

「な、何故・・・・ここへ!?」

「もう俺は勘当されてるんだ。どこへ行こうが俺の勝手だろ。まぁ、ちょっと御礼を言いたくて来たんだけど・・・・な?」

「ひっ・・・・」


次の日、何者かに重症を負わされたワイアットが自宅から発見された。




ナディア城・・・ここの城主の娘でコウヘイの婚約者でもあるユーリには次の日にはコウヘイが勘当されたという話が飛び込んで来ていた。当然、婚約も破棄になりそうになったが彼女が駄々をこねたおかげで一応婚約は続くことになった。

「・・・・コウヘイ・・・・」

ユーリは礼拝室で消えてしまった恋人のことばかりを考えていた。

「ユーリ様!」

兵士が一人部屋へ何かぬいぐるみを持って入ってきた。

「それは?」

「いや・・・・さっき城の前に来た竜騎士がユーリ様に渡して欲しいと言って・・・」

「・・・・・竜騎士が!?」

「はい・・・ここにおいておきますから見て下さい」

そう言うと兵士は礼拝室から出て行った。

そのぬいぐるみはユーリがコウヘイに頼んでおいたものと全く同じであった。

「・・・コウヘイ・・・!!」

そのぬいぐるみには手紙らしきものが付いていた。

その手紙の内容は・・・

・・・・・色々わけがあって勘当されることになったが俺はしばらく世界を旅することにする。必ず戻ってくるから待っていてくれ。親父さんによろしく。

と、これだけだったが、彼女にはだれが書いたかわかっていた。

「コウヘイ・・・・」




ナディアの城下町を一人の竜騎士が歩いている。

「・・・・・ユーリ・・・・」

竜騎士はそう呟くと相棒の竜に乗り、ナディアから去って行った・・・




異端者航平(以下異端者) 本当に作っちゃったよおい・・・

コウヘイ 不用意に言うからだ。

異端者 悪かったな・・・不用意で・・・

コウヘイ で、まだ続くんだろ?

異端者 もちろん・・・ヘタすると某外伝より続く。

コウヘイ 次はいつ書くんだ?

異端者 とりあえず・・・・テスト明けの12月ぐらいだな・・・

コウヘイ おいおいおいおい(汗)




次回予告

放浪の旅に出たコウヘイは一人の少女を野党から助け、彼女の家に泊めてもらうことになる。そして彼はここで一人の少年と出会う・・・・