ユグドラシル聖戦記外伝

少女が森の方から逃げてくる。

何かに追われている様だ。

「はぁ、はぁ・・・・」

息を切らしながら走るが、とうとう力尽きてしまう。そして、後ろから野党と思われる男が出てくる。

「譲ちゃん、逃げ切れると思っているのか?」

そう言うと、男は少女を連れ去ろうとする。

「やめてください!」

少女はそう言うが男は無視して連れ去ろうとする。

そこへ・・・・



2.名無しの王子



「その手を放すんだな」

「!!」

男のすぐ後ろからそう言ったのは竜騎士と思われる少年であった。

「誰だ!てめぇは!!」

「俺の名前なんてどうでもいい。死にたくなければ、その子を放せ」

「へっ・・・そう言って放すやつが・・・」

ドカッ!!

「うぐ!!」

竜騎士に蹴られた男は思わず手を放す。

「約束どおり放してもらったぞ」

「ち、畜生!!」

そう言うと、男は去って行った。

「あ、危ないところをありがとうございます」

「気にするな、好きでやったことだ」

そう言うと竜騎士は去ろうとした。

「あ、あの・・・お礼に家に泊まりませんか?」

「・・・・・それは嬉しいが・・・」

「何か都合でも・・・?」

「いや・・・マグ、出て来い」

そう、竜騎士が言うと、竜が出てきたのであった。

「こう言うのもいるんだ」

少女は驚いたようだが、

「別に構いませんよ、それなら」

「じゃあ、お言葉に甘えるとするか・・・・」

「あの・・・お名前は・・・?」

「名前なんてない。どうしても呼びたければ『名無し』とでも呼んでくれ」

「は、はい・・・」

こうして『名無し』と名乗る竜騎士は一晩少女の家に泊まることになったのであった。



ナディアを後にしたコウヘイは傭兵でもやろうかと思っていたが、その為にはまず偽名がいることに気づいた。

勘当されたとはいえ、トラキアの王子と言う事がバレると何かと厄介なことになると思ったからである。

が、いい名前も思いつかなかったのでとりあえず『名無し』と名乗ることにしたのであった。



「お兄ちゃん、ただいま!」

「セティ!心配したぞ!!」

少女がドアを開けるとコウヘイと同年代と思われる少年がいかにも心配していたような顔で出てきた。

「そちらの人は?」

「野党に襲われたところを助けていただいたの」

「妹が危ないところをありがとうございます」

「気にするな、好きでやったことだ」

「お兄ちゃん、この人今夜家に泊まってもらうことにしたの良いでしょう?」

「ああ、セティの命の恩人なら大歓迎だ。俺はシヴァって言うんだ」

そう自己紹介されるとコウヘイはもちろん、

「呼ぶんなら『名無し』とでも呼んでくれ」

と、言うのであった。



アジトらしき場所・・・

「何ィ!?あのガキの妹を連れて来れなかっただと!?」

野党の首領らしき男がさっきコウヘイに蹴り飛ばされた男に言う。

「は、はぁ・・・連れ去ろうとしたところを竜騎士みたいなヤツに襲われまして・・・」

「竜騎士だぁ!?」

「へえ・・・」

「仕方ねぇ・・・・今夜全員で村を襲うぞ!!」

「へ、へい!!」



「じゃあ、この村は前から野党に襲われていたのか?」

「ああ、ひどくなったのはここ一年ぐらいだが・・・」

「その度にお兄ちゃんが野党を追い払ってきたのよ」

「お前も中々の腕前のようだな」

「ああ、父さんがそこそこ有名な剣士だったんだ」

「名無しさんはどうして旅をしているんですか?」

「・・・・・・色々と事情があるんでね・・・」

「はぁ・・・そうなんですか・・・」

「・・・・・・・」

「・・・・・・・」

「ど、どうしたの?」

急に黙り込んでしまった二人にビビるセティ。

「来たな・・・・」

「ああ・・・・セティ!お前はそこで待ってろ!!」

そう言うと、シヴァとコウヘイは外へ飛び出していった。



「げっ・・・いつもに比べるとずっと多いな・・・・」

「小出しじゃ無理だと判断したんだろう」

「ざっと50人ぐらいか・・・・名無し、お前どれぐらい相手できる?」

「半分は確実に倒せる」

「じゃあ、もう半分は俺が倒すぜ・・・」

「いいだろう」

「行くぜッ!!」

コウヘイとシヴァが野党の群れへ突っ込んで行く。



「お兄ちゃん達、大丈夫かしら?」

家の中でそう呟くセティ。

そのとき、急に玄関のドアが開く。

「じゃあ、譲ちゃんはその様子を見てもらおうか?」

「!!」



コウヘイは既にノルマの半分近くの野党を倒していた。

「このっ!!」

銀の剣を振りながらコウヘイは考え事をしていた。

(しかし・・・・これではいくら何でも、無駄死にをするようなものだ・・・・おそらく何か作戦があるはずだ・・・・一体なんだ・・・・?)

そこで彼はさっきセティを助けたときのことを思い出す。

(・・・・・!!)

コウヘイの頭にある事が浮かぶ。それならシヴァを戦えなくすることが十分可能だとコウヘイは断言できた。

「シヴァ!!早く家へ戻れ!!」

「どういうことだ!?」

「こいつらは囮だ!!おそらく俺達を引きつけている間にお前の妹を・・・」

「その通り」

「!!」

コウヘイ達の後ろの方から野党の首領と思われる男達が出てくる。

「・・・・・」

「おっと、動かないでもらおうか・・・動いたら、こいつの命はないぜ・・・」

「お兄ちゃん!」

「セティ!!」

首領の後ろから身体を縛られたセティが出てくる。

「・・・・・・くっ・・・・・」

「とりあえず、武器をこちらに渡してもらおうか」

「・・・・・わかった・・・・」

コウヘイがグングニルを渡そうとする・・・・



が、

「何ッ!?」

コウヘイはグングニルをセティの方へ投げる。

ブツッ・・・・

「え・・・?」

コウヘイが投げたグングニルはちょうどセティを縛っていた縄を切ったところで止まった。

それを見たシヴァは驚きまくってる野党を尻目にすかさずセティの方へ向かう。

「セティ、大丈夫か!?」

「う、うん・・・・」

「さてと・・・」

コウヘイは鋼の槍を持って再び戦う。



30分後、コウヘイとシヴァによって野党は壊滅させられた。



「名無しさん、またありがとうございます」

「気にするなって・・・」

「さっきの槍、拾っとくぞ?」

「あ、ちょっと待て・・・」

バチィ

と、結界がシヴァの腕を遮る。

「くっ・・・」

「どうしたの?お兄ちゃん・・・」

「いや何でもない・・・・」

そう言ってる間にコウヘイはグングニルを拾っていた。



その後、セティが寝てしまったあと・・・

「なぁ、名無し・・・お前ってもしかして・・・・」

「・・・・・・お前の想像の通りだろうな・・・・」

「・・・・・そうか・・・」

「・・・・・まぁ、いい偽名が思いつかなかったんでね・・・・」

「・・・・・・それなら・・・」

「?」

「それなら、俺の名前で言ってみたらどうだ?」

「・・・・・・まぁ、悪くはないな・・・」



次の日・・・

「じゃあ、そろそろ俺は行くぞ・・・」

コウヘイがシヴァとセティに見送られる。

「ああ、元気でな」

「また、来てくれますか?」

「いや・・・多分もう来ないだろうな・・・・」

「そうですか・・・・」

「じゃあな・・・・シヴァ、お前の名前、ありがたく使わせてもらうよ」

「ああ」

「?」



ある酒場

「おや、兄ちゃん、何か用かい?」

「ああ、何か儲け話はないか?」

「それなら、あることはあるぜ・・・兄ちゃん、名前は?」

「・・・・シヴァだ」




異端者航平(以下異端者) 第二章終了~

コウヘイ ・・・おい、11月中に終わらせてるじゃないか・・・

異端者 いや・・・・何か書きたくなって(爆)

コウヘイ 全く・・・

異端者 次は・・・フフフ・・・

コウヘイ おいっ・・・何企んでる?

異端者 いいだろ、別に・・・・じゃあ今回はここで終わりだ。

コウヘイ 気になる・・・・

異端者 ちなみにヘタすると次回で外伝終わりだ

コウヘイ 何ぃぃぃぃぃ!?

次回予告

傭兵を始めて約一年後、コウヘイは酒場で彼にとって勘当の原因の一因とも言える男の張り紙を発見する。

そして・・・・