ユグドラシル聖戦記外伝

その日・・・彼らは全てに決着をつけるべく最後の戦いに挑もうとしていた・・・

「マイラ・・・俺は絶対にお前を許さない」

テンルウがマイラに向かって怒りを露わにする。

「ふっ・・・・・・いいでしょう・・・・・まず先に貴様らから我が神の生贄として捧げてやるわ!!」

マイラが右手を翳し、そこに闇が集まっていく。

「死霊の叫びと怨みを聞き、その心を壊すが良い!!」

マイラの両手から死霊が生み出され、叫びを上げながらテンルウ達を包み込む。

「くっ・・・」

死霊の叫びから逃れる為にテンルウ達は指で耳を塞ぐが指の隙間から叫び声が微かに脳を刺激する。

そして、キラが動いた。

「イチイバルよ、闇を貫けぇ!!」

キラが渾身の力を振り絞りマイラに向かってイチイバルを放つ。

ドスッ!・・・

マイラはそれを左手で受けとめるが、矢はマイラの左手を貫通している。

「こしゃくな・・・・・」

マイラがキラに威圧をかけ、睨みつける。

そしてキラが、

「いやああああああああああああ!!!」

と頭を抱えて叫び出す。

「キラ!!」

と、オスカーがキラを落ちつかせようと抱き寄せるが、

「いや!!いやあああああああああああああ!!!!」

と、キラは完全に錯乱してしまってる。

「・・・・・」

その状態のキラを見て、コウヘイは今まで予感めいてたものが確信に変わったのを感じた。

(・・・・少しばかし早い気がするが・・・そろそろ返す時が来たって事か・・・)




ユウキ外伝1章「NEVER FAREWELL」




コウヘイは妻のユーリと子供のユウキとクスハのところへ向かう。

「ユーリ・・・」

「コウヘイ・・・・?」

ユーリが心配そうにコウヘイの顔を見る。

「ユーリ、お前は子供たちとマグでトラキアへ行け!!」

「でも・・・・・」

「ここで俺達が死んだら何にもならないだろ!?行け!!」

「コウヘイ・・・・・・・」

「後で俺もトラキアに帰るから・・・・・・・先に帰っててくれ・・・・」

悲しげな顔でユーリを見るコウヘイ。その表情でユーリはコウヘイが何を考えているのか悟る。

「わかった・・・・そうする・・・・」

「これ、預かっててくれ」

グングニルをユーリに渡すコウヘイ。

「・・・ユウキ、母さんとクスハを守ってやれ・・・」

「パパ・・・・・・?」

「コウヘイ・・・・・・」

「ユーリ・・・・・・・」

コウヘイとユーリの唇が重なる。

「早く行け!!」

「コウヘイ・・・・ずっと・・・待ってるから・・・」

ユーリ達を乗せたマグは少し躊躇ったが、主人であるコウヘイの命令通りトラキアへ飛び立って行った。

「ユーリ・・・・ごめん・・・・」

そして、誰にも聞こえないような声で、

「・・・さよなら・・・」

と呟いた。

「お兄様・・・」

コウヘイの元に天馬に乗った妹のミホが降りてくる。

「・・・・お前もさっさとトラキアに帰れ」

「今更そんな事出来るわけないでしょう!?」

「・・・・・・好きにしろ」

コウヘイがそう言うとミホは再び上空へ上がっていった。

「おい、マルス」

コウヘイはミホの恋人であるマルスに話しかける。

「なんだい?コウヘイ・・・」

「ミホのヤツを守ってやってくれ」

「・・・・わかった、彼女の事は任せてくれ」

「頼む」



コウヘイは腰に刺していた親友の形見でもある銀の剣を鞘から抜き、テンルウ達の元へ戻った。

「テンルウ、俺も付き合うよ、旅は道連れって言うだろ?」

「いいのか?」

テンルウがコウヘイにそう尋ねる。

「ああ。俺も・・・・・・こいつのことがメチャクチャ気に入らない!!」

コウヘイはそう言ってマイラを睨みつける。

「俺もすごく気に入らない!!」

カンピナスもコウヘイに同意する。

そして、コウヘイ・テンルウ・カンピナスの三人がマイラの前に立ち塞がる。

「気に入らぬ・・・・・・何故そこまでヘイムにこだわる!?ヘイムの何処がいいのだ!!」

と言うマイラにテンルウは、

「俺は別にヘイムにこだわってるわけちゃいねえよ」

と答える。

「ならば何故・・・」

「俺はグランビア王女として生まれてきた『シオン・ティルト・フィン・グランビア』という人間に惚れてるんだ。アイツがヘイムの生まれ変わりだとかそうでないとかは関係ない。俺はアイツが良いんだよ」

テンルウはシオンから貰ったアミュットを握り締めながらそう言う。

「・・・・・・・・・ふっ・・・・・どちらにしろ結果は同じであろう!?オードはヘイムを選んだ・・・・双子として生まれ、大差のなかったわらわを選ばずに・・・・」

「俺に言わせればそっちの方がくだらないな。振られたから世界を闇に返す?お前がそう言う女だったからオードもお前を選ばなかったんだろ!?俺としてもお前のような女お断りだな」

と、はっきりマイラに言うテンルウに、

「確かに俺もこんなこの世で自分だけが唯一正しいと思っているような女は御免だ」

「こんな女を王妃にしても国が乱れるだけだな!!」

と、コウヘイとカンピナスが相槌を入れる。

「・・・・・・・・・・どうせわらわのものにならないのなら・・・・・お前を殺す・・・・・その方がわらわの為になる・・・・・・!!」

「結局自分の事しか考えてないじゃねえか」

テンルウがさらに駄目押しで言う。

「うるさい!貴様に何がわかる!!」

「わからないさ、そしてオードもわからない。俺やオードにしてみれば大切な人を奪われたことだけは確かだ。二度もな・・・・・俺としてもそれが許せない」

テンルウはバルムンクを構える。

コウヘイとカンピナスもそれに習いそれぞれ銀の剣とミストルティンを構える。

「地獄であの女と落ち合うが良いさ・・・・・・ロプト王国は復活する!!お前達の血肉でな・・・・」



数十秒後・・・

光魔法をも唱えるマイラにテンルウ達は苦戦していた。

「取られたら取り返すまで!!」

マイラの光魔法によろつきながらもカンピナスはマイラに斬りかかる。

「太陽剣!!!」

ミストルティンがマイラを襲いかかる。

が、それもかすり傷しか与えられない。

とは言っても一応体力はしっかり奪っていた。

「こしゃくな・・・・・」

マイラの手のひらがカンピナスへ向けられる。

「ファイアー!!」

カンピナスへ放たれた炎はミストルティンによって遮られるが、それでも残りの炎が彼を襲う。

「ぐあぁ!!」

カンピナスは地面に倒れこんでしまう。

だが、そのときちょうどマイラに隙が出来ていた。

(今なら・・・・いける!!)

コウヘイは直感的にこれが自分に与えられた最後のチャンスだと感じながら、マイラの懐へ飛び込む。

「はぁぁぁぁ!!」

ズバッ!!

マイラはすぐに結界を張ろうとしたがすでに遅く、コウヘイに左腕を斬られてそれを失っていた。

「私の腕・・・・・・・貴様・・・よくも・・・・!!」

マイラはコウヘイを思い切り睨みつける。

「!?」

(か・・・身体が動かない・・・・!!)

コウヘイは身体を動かそうとするが、金縛りにあったように全く動かなくなる。

そして、マイラの右手が動く。

(動け!動いてくれ!!)

ドスッ・・・・

「ぐぅ・・・」

マイラの右腕がコウヘイの左胸にめり込む。

そして彼女がコウヘイの心臓を軽く握る。

「ぐあぁっ!!」

(・・・・クスハ・・・・ユウキ・・・)

「苦しいか・・・?だが・・・その苦しみもすぐに終わる!!」




(・・・ユーリ・・・・・)





「・・・・・・コウヘイ?」

何故か、コウヘイの声が聞こえたような気がしたユーリはグランビアの方を振り返った。

がもちろん、コウヘイが追って来てるわけではなく、後方には誰もいなかった。

「・・・・・まさか・・・・」

最悪の可能性を考えてしまうユーリ。

「ママ・・・・?」

ユウキが心配そうにユーリを見る。

「あ・・・ゴメン、ユウキ、大丈夫だから・・・・」

「・・・・?」




トラキア城・・・

ユーリはトラキアに着いてコウヘイの父親でトラキアの王であるクーパーに事情を説明しトラキア城で生活していた。

そしてある日、ユーリはクーパーに呼び出される。

「クーパー様、何かあったんですか・・・?」

「うむ・・・・・」

クーパーはユーリに手紙と思われる物を渡す。

「これは・・・・?」

「今、届いた手紙だ。ミホがアリストから出したもののようだな・・・」

「ミホが・・・?」



ユーリは自室に戻ると手紙を開き、それを見た。

その内容は・・・・色々と書いてあったが、彼女にとって重要だったのはコウヘイがマイラの手によって殺されたという事だった。

「・・・・・コウヘイ・・・・!!」

コウヘイと別れたあの時に覚悟は出来ていたとはいえ、事実を知って昔、彼から誕生日プレゼントに貰ったクマのぬいぐるみを抱いて泣くユーリ。

「ママ・・・・・・・・?」

そんな母親の姿を見て心配するユウキ。

しかし、今のユーリにはそんなユウキの声も届かないのであった・・・



そして12年後・・・・




後書き

作者:第1章終了~

コウヘイ:グングニル投げぇ!!

作者:うわっ!!な、何をする!?

コウヘイ:タイトルに嘘偽りあり!!どこがユウキ外伝だ!?

作者:いいんだよ!!次回からはちゃんとユウキが主人公だから!!

ユーリ:いい加減ね・・・・しかも、クスハに至っては全く台詞がないわ・・・まぁ、出せないとは思うけど・・・

作者:くっ・・・夫婦揃って・・・

コウヘイ:まったく・・・こんな作者に振りまわされる運命とは・・・やっぱりユウキも不幸なのか・・・

ユーリ:そうね・・・おまけに・・・

作者:待て!!それはまだ言ってはいけない!!

コウヘイ:俺の息子とは言え・・・まさかなぁ・・・・

作者:だから!言うなって!!それは次回までのお楽しみなんだから!!

ユーリ:みんな知ってるんじゃないの・・・・?

作者:う・・・・・