ユグドラシル聖戦記外伝

レンスターにおけるトラキアと帝国の戦闘の中、レンスターの主戦力であるランスリッターは帝国軍の奇襲によって壊滅的被害を受けていた。

その最中・・・





ユウキ外伝特別編「Dragonknight&Lanceknight」





「兄上・・・・大丈夫ですか?」

と、槍騎士と思われる少女が大怪我をしている青年に心配そうに話しかける。

「くっ・・・・・私はもう駄目だ・・・アリシア、お前だけでも逃げろ・・・」

「そんな!私には兄上を放って逃げるなんて出来ません!!」

アリシアと呼ばれた少女はそう言って青年から離れようとはしない。

「アリシア・・・お前は・・・まだ死なせるわけにはいかん・・・」

「でも・・・・」

と、そこへ帝国軍の兵士がアリシアの後ろに出てくる。

「!!」

アリシアはその兵士に攻撃しようとするが、気付くのが遅く、逆にやられてしまう。

「くっ・・・・兄上・・・」

そう言って倒れるアリシア。

「アリシア!」

「心配するな、まとめてあの世に送ってやるよ!!」

そう言って、その兵士は斧を上げてまずアリシアを殺そうとする。

だが、

「いや、あの世へ行くのは、貴様の方だ」



ドスッ!!



「がっ・・・・・・!?」

後ろから槍で刺され、倒れる帝国兵。

「・・・・・おい、大丈夫か?」

と、アリシアと同年代と思われる竜騎士が青年に話しかける。

「私のこと・・・・よりも、妹を・・・・」

「あんたの妹なら気を失ってるだけだ、心配するな」

竜騎士にそう言われ、安心した笑みを浮かべる青年。

「そう・・・か・・・・・・・・・・良かっ・・・・た」

「・・・・・・何か、言い残したいことはあるか?できるだけ望みは叶える」

竜騎士にそう言われ、青年は、

「・・・・・頼む・・・・妹を・・・・守ってくれ・・・・・」

そう言って青年は二度と喋らなくなった。

「わかった・・・・・」

竜騎士はそう呟くと、アリシアを竜に乗せて、ドラゴンナイツの本隊と合流していった。





「うっ・・・・私は・・・」

アリシアが竜の上で目を覚ます。

「気付いたか」

「貴方は・・・・・?あの・・・・・兄上は!?」

竜騎士に兄のことを尋ねるアリシア。

「お前の兄は・・・・」

そう言って竜騎士は首を振る。

「そう・・・・・ですか・・・・」

「お前の兄にお前を守るよう頼まれてここまで連れてきたが・・・大丈夫か?」

「は、はい・・・・あの、貴方は・・・・?」

「ああ、俺の名前か・・・俺の名前はファングという」

これがファングとアリシアの出会いであった。





数日後・・・

アリシアはファングの家で世話になることになっていた。

「あの・・・・ファングさん・・・」

「ん?」

「わざわざ泊めてくれるのは嬉しいんですけど、ご両親とかにご迷惑になるんじゃ・・・?」

ファングの家に行く道の途中でアリシアが尋ねる。

「ああ・・・俺の父は俺が生まれる前に戦死して、今家にいるのは母上だけだが、まだ部屋はたくさん余ってるし、大丈夫だろう」

「・・・・それならいいんですけど・・・」

「それに母上も結構寂しがり屋だから、お前みたいなのがいると喜ぶだろう」

「そうですか・・・・・ところで、ファングさんにお願いがあるんですけど・・・」

「お願い?何だ?」

「・・・・私に槍術を教えて欲しいんです」

「槍術を?お前はランスリッターなんだろう?わざわざ俺が槍を教える必要はないと思うが」

「ええ・・・・でも、今回の戦いで私は何も出来なかった・・・そして兄上を見殺しに・・・」

「・・・・・・」

「だから、私は強くなりたいんです。いずれアミナル様がレンスターを奪還する時に役に立てるように・・・・・ランスリッターの団長だった兄の名に恥じないように・・・ファングさんはドラゴンナイツの中でも槍術ではユウキ王子に並ぶほど天才だと聞きました・・・だから・・・」

「・・・・・・そうか・・・・はっきり言っておく。俺の訓練は厳しいぞ?それでもいいんだな?」

「はい!」

「それから・・・俺のことはファングでいい。わかったな?」

「あ、はい・・・ファング・・・」

次の日からファングは暇さえあればアリシアと訓練をすることになる。





数週間後・・・

元々ファングはユウキとよく訓練をやっていたのだが・・・・何せ、父コウヘイを超える天才と言われ、前回のレンスターでの戦いの後、帝国には「紅蓮の竜騎士」と恐れられている彼の相手になるような竜騎士はファングぐらいしかいない・・・・最近では、アリシアとの訓練の方に集中していた。

「ファング、お前が助けたアリシアって槍騎士、どれぐらい才能があるんだ?」

「ええ、そこらの槍騎士よりよっぽど才能はありますね・・・鍛えがいがありますよ。もちろん、ユウキ様ほどではありませんが」

ユウキの質問にファングはそう答える。

「ふ~ん・・・・それは一度見てみたいな。プライドの高いお前が認めてしまうほどの女なら尚更な」

もちろんユウキはアリシアがどれほどの才能があるのかが見てみたいのであって異性としての興味など全くありはしない。この男も、父親に似て好きな女・・・つまりイナルナ以外の女はどうでもいいようなヤツなのだ(爆)。

そして・・・

「アリシア、こちらは俺の主君のユウキ王子だ」

と、ユウキをアリシアに紹介するファング。

「貴方がトラキアの・・・申し訳ございません。私たちがもっとしっかりしていれば、ユウキ様を煩わせることも、クーパー陛下も亡くなることは・・・」

「今更、過ぎたことを気にするな。祖父は戦いの中で・・・帝国と戦って死ねてきっと本望だったさ・・・あんたが気にすることじゃない」

「はい・・・・」

「俺が今日来たのは、ファングほどのヤツが認めるほどの才能があるあんたを見に来ただけさ。コイツは自分の腕に自信を持っててそう簡単には他人の腕を認めないからな」

「ファングが・・・・いえ、そんな・・・・私は・・・」

と、ファングに認められたのが嬉しいのか、顔を紅くするアリシア。

それを見てユウキは、

(・・・・惚れてるな)

と、感づく。意外と彼は鋭いのだ。

「・・・・ま、コイツにはあんたぐらいの人がついてた方がいいんだよ。そうじゃないと、照れ屋で無愛想過ぎるのと自信家で喧嘩売るような態度をするあまり他人を近づけなくなってしまうからな」

「は、はい・・・・」

「ユウキ様、それは一体どういう・・・」

「だってお前、グレイスと仲が良くなった時だってその直前に大暴れしただろ」

今はグレイスと仲のいいファングだが、最初に会ったときはソシアルナイトであることを馬鹿にして大喧嘩をやらかしたのだ。その後、グレイスの実力を認めて意気投合して彼と仲良くなり、今では良き親友である。

「ユウキ様・・・嫌なことを思い出させないでくださいよ・・・」

「ふっ・・・・まぁ、ロベルトのヤツはどうでもいいがな」

「ロベルトは・・・実力は認めますが、性格はちょっと・・・」

「主君にナンパするようなヤツだからな・・・イルムも結構近かったが・・・と、もうこんな時間か・・・そろそろ俺は城に帰るから」

「アリシアの腕を見なくていいんですか?」

「いや、いいさ。今度見せてもらう。なんか、俺がいたら邪魔そうな雰囲気だしな」

「・・・・・わかりました」

ユウキの言った意味がわかってるのかわかってないのかよくわからないがそう返事をするファング。

「それじゃあ、アリシア。今日も厳しく行かせてもらうからな」

「はいっ!!」

と、訓練を開始するファングとアリシアであった。





それから数年後・・・

この頃は城の中庭でユウキと一緒にアリシアと槍の訓練をするようになったファング。

最近、ファングはアリシアが自分に惚れていることは薄々感づいてきていた。が、もし告白された時はどう答えるかは自分でもよくわかってなかった。

そんなある日・・・

ウイングロードの方からショウ達がやってきてユウキは彼と話し込んでおり、ファングも親友であるグレイスと再会していた。

「なるほど。しかし、ナンパしてる最中に馬を盗まれて、しかも盗んだ女と恋人になるとは、あいつらしいと言うかなんと言うか・・・」

と、ロベルトに彼女が出来た経緯を聞いて呆れるファング。

「ああ・・・ところでファング・・・」

「ん?」

「ロベルトを見かけないが、あいつを放っておいて大丈夫だと思うか?」

「・・・・大丈夫じゃないな・・・探すか・・・クスハ様でもナンパしそうなヤツだからな」

そう言ってロベルトを探し始める二人であった。





その頃、アリシアは・・・

「ねぇ君~♪俺と一緒にこの城見て回らない?あ、大丈夫大丈夫、俺ってば客としてここにいるから怒られないよ。ほら、行こうよ~♪」

と、得体の知れない(笑)妙なナンパ男・・・・当然、ロベルト・・・・に絡まれていた。

「すみません、私は・・・」

と、断るアリシア。ファングなら喜んで見て回るかも知れないが、初めて会った人と見て回るほど、彼女は軽い女ではない。

「え~?駄目?そんな事言わずに・・・」

「久しぶりだな・・・?ロベルト・・・」

と、アリシアをナンパしていたロベルトにファングが強烈な殺気と共に後ろから唐突に話かける。

「・・・・・・・・!!」

「まだ懲りずにナンパしているのか?」

「よ、よ!ファング・・・ど、どうしたよ?そんなに怖い顔するなって、な?」

と、ロベルトは弁解し始めるが、そう簡単にファングの怒りが収まるはずがない。

「・・・ファング!そう怒ると女にモテないぞ!うん!だから・・暴力は反対だぞ、俺は・・・」

自称恋愛のプロなどと言ってるだけあって直感でファングがアリシアに惚れているのではないかと気付くロベルト。が、彼にそれが通用するはずもない。

「ロベルト、サリアに言い付けるぞ・・・・?」

一緒にやってきたグレイスがさらにロベルトに追い討ちをかける。

「うっ・・・・グレイス!お前こそ、リーシャにちゃんとかまってやらないと逃げられちゃうぞ!」

「・・・何のことだ?」

と、言い合いをしている3人をファングのお陰でロベルトから逃げられたアリシアは少し離れたところで見ていた。

「ファング・・・・」

と、自分のためにロベルトと言い争いをしているファングを見つめるアリシア。

「なんだ?やけに嬉しそうだな、アリシア」

と、アリシアの後ろから唐突に話しかけるユウキ。

「ユ、ユウキ様!?いつからそこに・・・」

と、思いっきり驚くアリシア。

「ファングも早く言えばいいのにな・・・」

と、苦笑しながら呟くユウキ。

そこへ、なんとか2人から逃げ切ったロベルトが、それを聞いていたのか、

「ユウキ様に言われちゃファングが可哀相じゃないですか~?」

と、言ってきた。







ブチッ





ここから先は正確にお伝えできません。

ただ、ドカッ!バキッ!ザシュッ!グサッ!ドスッ!グシャッ!という音がしたというのだけは言っておきましょう(グシャッってなんだ、グシャッて?(汗))。

ちなみに、その様子を見ていたトラキアの人たちの心の呟き(本人含む)は以下のようなものであった。



(・・・・ああ・・・ファング・・・・byアリシア)←ロベルトなんか気にしてない(爆)



(・・・・ロベルト、絶対に言ってはいけない事を・・・・・・アリシアを口説いた天罰か?・・・・俺も変わったな・・・byファング)



(ロベルト・・・・・俺を怒らせた罪は重いぞ・・・・?一番気にしてる事を言いやがって・・・byユウキ)





ちなみにロベルトは、瀕死の重傷を負ったくせにギリアムのリライブ一発で回復したという(爆)。





さらにそれから半年後・・・

ファングはユウキの命令で最近活発になってきた子供狩りを喰い止めるためにとある孤児院に行っていた。

そして・・・

「お前までついてくる必要はないはずだ、アリシア」

「確かにそうだけど、トラキアの人たちにはお世話になったし、子供狩りなんて絶対に許せないわ」

と、何故かアリシアまでついてきていた。

「・・・・本当は違う理由じゃないのか?」

教会の方に向かいながら、ファングが呟いた。

「・・・・・・気付いていたの?」

「・・・・・・・・・・・まぁ・・・な」

「ファング・・・・私は・・・」

「今は任務遂行中だ。そういう話は終わってからにしてくれ」

「・・・・・でも、何だか今言っておかないともう二度と言えない気がするの・・・」

「・・・・・・・わかったよ。聞いてやる」

「私は・・・貴方のことが好き」

「・・・・・!すまない、答えは後からでいいか?」

そう言ってファングは孤児院の方へ急ぐ。

「え・・・・・・!?あ、はい!」

アリシアもすぐにそれを追いかける。彼らの目に映ったのは火事によって煙が上がっている孤児院であった。





孤児院についたファングとアリシアはすぐに子供たちを連れ去ろうとしていた暗黒教団の魔道士達と戦闘を始めた。

そして、数分後にはほとんどの魔道士達が二人の前に倒れ、残っているのはリーダーらしき暗黒司祭だけになっていた。

「残りは貴方だけです。おとなしく投降しなさい!そうすれば命は助けます!」

アリシアがそう暗黒司祭に言う。

「・・・・・悔しいが・・・そうするしかないようだな」

そう言って暗黒司祭が両手を挙げる。

それを見たアリシアは投降したと考え、彼に近づく。

そして、暗黒司祭の目の前に来た時、

「・・・・・・・・・甘いな、女!!ヨツムンガンド!!」

「え!?」

完全に油断しきっていたアリシアはヨツムンガンドをまともに喰らいそうになる。

「アリシア!」

と、ファングがアリシアを横へ押しどけ、暗黒司祭をグラディウスでトドメを刺しながら自分がヨツムンガンドを喰らう。

「ぐっ・・・・・・!」



・ ・・・・ズドォン!!



と、ファングはそのまま崖から落ちて急な流れになっている川に流されていった。

「ファング!?嘘でしょう・・・・?ファングーーーーーーーーーーーーーーーー!!」

ファングが落ちた崖から叫ぶアリシア。





この後、すぐにファングの捜索が始まったが、川の流れはとても速く、しかもヨツムンガンドで重症を負っているファングの姿は発見されなかった・・・





数日後・・・

あの事件の後、アリシアはずっと部屋で塞ぎ込んでいた。

「・・・・・・・・・・」

「アリシアさん、食事できてますけど、また食べないんですか?」

と、ファングの母親であるセニアが部屋の前に来て心配そうに言う。

「はい・・・・セニア様・・・・ごめんなさい・・・私のせいでファングが・・・」

「あの子の事は・・・気にしなくて良いのよ。あの子は、貴女のことをとても気にかけてたから・・・」

と、そこへ、チャイムが鳴る。

「誰かしら・・・どなた?」

と、扉を開けるセニア。

扉の前にいたのはユウキだった。

「ユウキ様じゃありませんか、どうかなさったのですか?」

「ああ。セニア、アリシアはいるか?彼女に用がある」

「いますけど・・・彼女、最近ろくに食事もとらなくて・・・」

「そうか・・・まぁ、無理もないか。ファングのヤツが自分のせいでいなくなってしまったと思ってるみたいだからな・・・・それじゃ、少し上がるぞ」

「あ、はい。どうぞ、ユウキ様」





アリシアの部屋に入ったユウキ。

「・・・・・・・・ユウキ様・・・・何の用なんですか?できればしばらくは人に会いたくないんですが・・・・」

と、アリシアはユウキに言う。

「ああ。すぐに終わる用だ。お前に渡しておきたい物があってな」

そう言ってユウキは布に包まれた槍をアリシアに差し出す。

「これは・・・・・?なんだかとてもいい槍みたいですけど・・・」

布を取って槍を見たアリシアが言う。

「ああ、これは勇者の槍だ。トラキアやレンスターでもそうそう見つかる物じゃあないな」

「勇者の槍!?私はレンスターの槍騎士です。ユウキ様からとはいえ、こんな物は受け取れません」

と、アリシアは驚いて言う。

「そう言うな。これはファングに頼まれた物だからな」

「ファングが・・・・?」

「ああ。数週間前に俺にこれを渡して、自分に何かあったらアリシアにこれを渡して欲しいと言って来たんだよ・・・もしかしたら、こうなる事を予感していたのかも知れないな」

「そうだったんですか・・・わかりました、有難く受け取ります・・・・・」

「俺の用はこれだけだ。じゃあな」

そう言って、ユウキは部屋を出ようとするが、出ようとする直前に、

「一つ、言っておく。俺はファングが死んだとは思ってはいない。あいつとは10年以上の付き合いだが、どんなことがあっても、あいつは必ず戻ってきた。覚えておけ」

と、言った。

「・・・・・・・・・」

「食事ぐらい食べろよ。そうじゃないと、あいつが戻ってきた時にガリガリに痩せてしまったお前を見たらさすがに嘆くだろうからな」

そう言ってユウキは部屋を出て行った。

「・・・・・・・・・・・・・・・ファング・・・・」





そして更に1ヵ月後・・・・

「アリシアさん、大変です!」

「どうしたんですか、セニア様?」

とセニアが慌てたようにアリシアの部屋に来る。

「今、聞いたんだけど、近くの教会で匿われているレンスターからの孤児達が子供狩りに合いそうになってるって・・・」

「本当ですか!?それじゃあすぐに行ってきます!!」

アリシアはそう言うとすぐに馬に乗って近くの教会へ向かっていった。





教会についたアリシアは、勇者の槍を手に暗黒教団の魔道士や傭兵と戦闘をはじめた。

「ファング・・・・見ていてね」

イナルナはそう言って、向かってくる傭兵を勇者の槍で突く。



グサッ!グサッ!



「ぐふっ・・・・」

そう言って倒れる傭兵。

「さぁ!何人でもかかってきなさい!」

アリシアはそう言って敵を自分に引き付ける。





数十分後・・・

アリシアによって傭兵や魔道士はほとんど全滅し、残ってるのは指揮官らしき剣士だけになった。

「・・・・いくぞっ!!」

そう言って剣士が鋼の大剣を振るう。



ズバッ!!



(早い!?)

「うっ・・・・」

そして、アリシアがよろめく間に、



ザシュッ!!



と、もう一回斬る。

「ああっ・・・・・・」

と、思わず膝をついてしまうアリシア。

「フン・・・この程度か。止めを刺してやる」

そう言って剣を上げる剣士。

「・・・・・ファング・・・私も・・・今貴方の所へ・・・・」

そう呟いて、目を閉じるアリシア。

「ふっ、死ね!!」

と、言って剣士が剣を振り下ろす。



ブンッ!!



が、それはアリシアに当たることはなかった。

「勝手に逝ってもらっても困るな、アリシア」

「・・・・・・・・・・ファング!?」

と、アリシアはファングに抱きかかえられていた。

「お前を守る。それがお前の兄との約束だ」

「・・・・・夢でも、幻でもないのね・・・?」

「当たり前だ・・・後は俺に任せておけ」

「はい・・・・・」

ファングはアリシアを降ろして、グラディウスを剣士に向けて構える。

「アリシアの代わりに俺が相手になってやる。かかって来い」

「いいだろう・・・・くたばれ!!」

と、ファングに向かって斬りつけてくるが・・・



ドスッ!



それより先にファングのグラディウスが剣士の腹を貫く。

「馬鹿な・・・この俺が・・・・」

そう断末魔の言葉を呟いて剣士は二度と動かなくなった。

「貴様の顔はもう二度と見たくない・・・」

ファングは剣士の亡骸にそう言った。

「ファング・・・・」

「アリシア、大丈夫か?」

「ええ・・・・それより、貴方が生きてるなんて・・・本当に夢のよう・・・」

「ちゃんと足もあるだろう?」

そこへ・・・

「ファング!戻ってきたのか!」

と、マグに乗ったユウキがやってくる。おそらく、報せを聞いてここにやってきたのだろう。

「ユウキ様・・・・ただいま黄泉の底から戻りました。1ヶ月もの間、連絡も取れず、申し訳ございません」

「ああ・・・・よく・・・・戻ってきてくれた。これからもトラキアのために働いてくれ」

「はっ!」

「それじゃあ・・・暗黒教団の魔道士や傭兵も片付いてるみたいだし、俺は城に戻る」

「それでは、俺も・・・」

「いや、お前は明日にでも城に来てくれ。アリシアに言うことがあるんだろう?」

「・・・・わかりました」

「じゃあ、明日な」

そう言ってユウキは城に戻って行った。

「・・・・さてと・・・アリシア、確か後で答えてやるって約束だったな?」

「え?あ・・・・はい」

「・・・・・俺は・・・・・お前が好きだ」

「ファング・・・・!」

「いつ、戦いの中で死んでしまうかもわからないが・・・それでもいいのなら」

「ファング・・・・・はい、もちろんです・・・・」

そう言うと、二人は教会の前で抱き合った。







数年後・・・

ファングとアリシアはあれから2年後に婚約し、半年後に結婚を控えていた。

ところが・・・

「やはり、行くのか?」

「ええ、アミナル様がレンスター解放のために挙兵したのなら、私もランスリッターの一員として行かないと・・・」

と、アリシアが言う。

「そうか。ならば仕方ないな・・・」

「ごめんなさい、ファング。結婚を延期することになってしまって・・・」

「気にするな・・・本当なら、俺もドラゴンナイツを率いて援護に行きたいところだが、今、トラキアから離れると危険だからな・・・」

「ううん。その気持ちだけで充分よ」

と、話している二人に、

「アリシアさん、本当に気をつけてくださいね」

と、セニアが話しかけてくる。

「はい、お義母様」

「アリシア・・・・死ぬなよ」

「うん・・・・ファング、必ず戻ってくるから・・・」

「ああ・・・」

「それじゃ・・・行って来ます」

そう言ってアリシアは祖国であるレンスターへと旅立っていった・・・・

イナルナ達が挙兵する1ヶ月ほど前の話であった・・・











後書き

作者:はい、前回の予告通りファングとアリシアの恋愛話です。

ユウキ:(無言で作者をぶん殴る)

作者:ぐはぁ!!殴ったね・・・?親父にもぶたれたことないのに!

ユウキ:嘘をつけ・・・・っていうか、何故にガ○ダム?

作者:何となく

ユウキ:・・・・・で、何だ、今回の俺の扱いは・・・・

作者:まぁ・・・・特別編だしね

ユウキ:父上の特別編は思いっきり目立ってるだろうが!!

作者:ま、まぁ・・・次回ではちゃんと目立てるよ

ユウキ:本当だな?

作者:多分

ユウキ:多分じゃないだろ!!(もう一回ぶん殴る)

作者:がはぁ!!・・・・・これが若さか・・・・

ユウキ:それはもういいっての・・・・