ユグドラシル聖戦記

シオンが敵の矢傷によって意識をなくしてしまい、ナディアへの一時帰還を余儀なくされた。

シオンはコウヘイが担ぎ、テンルウとキイナは軍が待機している場所まで戻って指令を言い渡し、軍を帰還させた。

コウヘイはナディアについてすぐにユーリのところまでシオンを運び、ユーリは懸命にシオンの回復をするのだった…

第14章  夢の奥底の記憶

私は………夢を見ていた……

でもそれは………私の知っている記憶じゃない……

誰かの記憶を………夢で見ている…そんな気がした………。

私はある場所に立っている……けど、それは私の知っているユグドラシルじゃないのがわかった。

おそらくグランビアに位置する場所だとは思う。

けど……

神樹ユグドラシルが何処にも見当たらない。

けど、私はここに立っている………。

そこに、二人の女の子がやってきた。

その子達は私と同じ真珠色の髪をした女の子だった。

「マイラ。待ってったらぁ!!」

「だって、ヘイムったら遅いんだもん!!」

マイラ……?!

ヘイム………?!

確かにあの子達はそう呼び合っていた。

それにしても……双子かな?

顔も声もそっくり………。

「こんな日々が毎日続けば良いのにね~」

「うん……私達、ずーっと一緒にいようね」

……………。

それにしても変な偶然ね。

ヘイムとマイラなんて…………。

そして……舞台はすぐに変わった………。



一人の青年が私に向かって歩いてくる。

あ………

あれは………

テンルウ様……………?

違う………

何処かが違う………。

「マイラ、ヘイム、お待たせ。待ったかい?」

「いいえ!!全然待ってませんわ。オード様」

オード………?

その名前を聞いて私は確信した。

ヘイムの時代の夢だ……………。

さっき見たのは小さいころのヘイムとマイラ。

今私の前にいるのは大きくなった二人だ………。

【良くわかりましたね、私の来世よ………】

<誰……?>

【私はヘイム…………貴方の………前世です】

<どうして……こんな夢を見せるの?>

【それは………貴方に真実を………知ってもらいたかったの……】

<真実………?>

【私とマイラは貴方の産まれたグランビアの前の王国……セルシア王国の王女でした……】

<………………>

【けど………マイラは……暗黒神に心を委ねてしまった……私が原因で……】

<どうして……そう思うの?>

【それは………今からお話しましょう………】



この話しは今から約500年前の話……

私とマイラは双子としてこの王国セルシアに生を受けました。

マイラが長女、私が次女でした。

その頃は神の信仰もあまりなくほとんどが自由だった時代でした。

私もマイラも生活環境も全く同じに育てられた双子でしたから気も普通の双子よりも合っていたと思います。

けど、それはそう長くは続かなかった………

私とマイラは17歳のころに一人の男性に恋をしました。

それがオードです………。

オードは私達双子をとても可愛がってくれました。

けど、それは……私達双子の運命をガラっと変えてしまった……

私とオードが恋に落ちたのが原因でした。

マイラは私に嫉妬し怒りをぶつけるようになったのです。

でも、それまではまだよかったのです。

やがて私の父も母もなくなり、王位を継承しなければならなくなりました。

長女であるマイラが女王として即位しました。

けど……それからマイラは変わってしまいました……。

いつのまにか……暗黒神に……身を捧げていたのです………。

私は悲しみに沈みました……。

まさかマイラが……そんな馬鹿なことをするとは思えませんでしたから……。

そしてマイラは事もあろうに……

全ての国を支配し帝国を作り上げてしまったのです。

それがあなた方にも伝わっている「ロプト帝国」です

暗黒神ロプトウスの信仰のみ許された世界が始まりました。

子供狩り、虐殺、火あぶり……

たくさんの人がマイラの手によって死んでいきました。

私はオードと共にマイラを止めようと何度も試みましたが全ては無駄に終わりました。

このままでは大陸から子供がいなくなり人類の滅亡は目に見えていました。

私とオードは何とかしようと仲間を集めました。

それがファラ・トード・ネール・ブラギ・バルド・ノヴァ・ダイン・ウル・ヘズル・セティです。

でも、仲間を集めても暗黒神の化身と化したマイラには抵抗すらできなかったのです。

そこに………光が差し込みました………。

それからはもう……貴方の知っている伝承の通りです。

マイラを封じることしかできなかったのは私の意志が弱かったせいなのです。

私のせいでマイラは暗黒神の化身となってしまった。

その気持ちがマイラに勝てなかった唯一の原因。

その後私はオードから離れ、別の人と恋に落ちてグランビアを作り出したのです。

ユグドラシルは暗黒神と化したマイラの亡骸の跡です……

マイラの亡骸はものすごい瘴気を出していました。

それを浄化したのがユグドラシルなのです。

私が頼む義理ではないことはわかっています。

貴方と私は別の人間なのですから……。

でも、お願いシオン……マイラを悲しみから解き放ってください…



そう言って私の心からの声は消えた……。

私にしかできないこと………

たぶんそれが…私にしかできないことなんだろう……

ならば………




シオンはフッと瞳を開いた。

見慣れた天井が目にる。

それは自分の自室の天井であった。

「シオン!!」

シオンは横を見た。

テンルウがいた。

「……テンルウ様………」

「よかった……もう目を醒まさないかと思ったよ」

テンルウはずっとシオンの手を握っていた。

シオンはそれが無償に嬉しかった。

「テンルウ様………ごめんなさい……私………」

「もういいんだ。俺のほうこそ悪かった」

体を起こしたシオンを抱きしめるテンルウ。

シオンはその時……何かを考えていた……

「シオン様、もう3日も眠ってらっしゃったんですよ?」

「ユーリ……」

「ごめんなさい、私の回復がシオン様の傷に追いつかなくて……」

「良いの。有難うユーリ………」

シオンは心の奥であることを決意した………




作者:今回の文法はちょっと変わってます。

シオン:私の一人称とヘイムの一人称が混じってるわね。

テンルウ:シオン……本当に良かった……

シオン:テンルウ様、心配かけましたわ

テンルウ:シオン………

作者:あ~……やってれやってれ