ユグドラシル聖戦記

シオンが目を覚ましてから数時間後……

ヨウスケが慌ててシオンのいる部屋に駆け出してきた。

「シオン様!!国王陛下からの手紙が……」

「おじい……陛下から?」

シオンはその手紙をヨウスケから受け取り中を開け、手紙の内容を見た……

「………………………」

シオンはそのまま黙り込んでしまった。

「シオン、どうした?」

「…………私がグランビアを出てから初めての手紙だから城に帰ってこいとかの内容だと思ってたのに…………」

そういって持っていた手紙をグシャっと握りつぶした。

「シオン…………」

「何よ…………私は……駒じゃないのよ………けど……国王陛下としての任務なら……果たさなくちゃならない……」

第15章 メルセデス陥落へ向けて…

「ヨウスケ……皆を作戦会議室に集めて…………」

「わかりました」

シオンはまだ治りきっていない身体を起こした。

「シオン様、いけません!!」

「シオン、まだ傷が治りきってないのに歩くなんて無茶だ!!」

「…………大丈夫、これくらい…平気ですわ………でもちょっと歩くのが大変なんですの。テンルウ様、肩を貸してくださらない?」

「……………」

するとテンルウはシオンを抱き上げた

「きゃあ!!」

「歩く必要はない。俺が連れていってやる」

「テンルウ様………」

シオンにはその気持ちだけでも十分嬉しかった。



作戦会議室……

ヨウスケの召集により、全員が呼び出され集まった。

シオンもテンルウに抱きかかえられて作戦会議室に入った。

「姉上、一体どうしましたか?」

「…………先ほど国王陛下からの通達がありましたわ……」

「おじい様から?」

「陛下はなんて………」

「……………メルセデスへの進軍を言い渡されたわ……」

その時、皆がシ~ンとなった。

周りがだんだん慌ただしくなる。

「シオン様………」

「国王陛下の命令は絶対よ…………従うしかないわ………テンルウ様たちはこの城にいてください……これは私達ユグドラシルの問題……あなた方を巻き込むわけには参りません………」

「シオン、俺はお前と行く」

「テンルウ様………」

「俺はお前を守ると約束した。それに……お前と結婚した時点で俺はユグドラシルと関係を持った。だからもうすでに俺にも関係のあることだ。だから俺はお前とメルセデスに行く」

「俺も、ユーリと結婚したし、ユーリがこんな状態じゃ戦力も減るだろう。俺も付き合うぜ、王女」

「僕も、及ばずながら戦わせてもらうよ。王女」

「私も行くわ。ひょっとしたら何か良い方法が浮かぶかもしれないもの」

シオンはその言葉が非常に嬉しかった。

テンルウ・コウヘイ・マルス・キイナはかなり強力な戦力である。

「………有難う……皆さん……」

シオンは何故か涙をこぼしていた。

「で?作戦は?」

「それが全ての城の制圧をしなくてはならないの。リデアはともかくメルセデスの公爵家は欲深な人たちが多くて……」

「そうか………」




その頃のメルセデス・リデアでは…・・

「カンピナス様、ナディアへの進軍を許可してくれるんですか?」

「ああ………好きにしてもかまわない。だが……民は傷つけるなよ?」

「わかっております。陛下……」

「ふん……何が民を傷つけるなだ……私腹を肥やすのに丁度良い機会だ……ナディアのせいにして村を襲わせてやる……」

「しかしセドリック様……我等軍で村を襲うというのは……」

「安心しろ。山賊を雇ってある上に傭兵も雇って準備させている。ユグドラシルを落とすことなど簡単なことだ。」



ミホは城のほとんどの人間が戦いの準備している時に、のんきにぼーっとしていた。

ミホには戦う気などさらさらなく、黙ってその光景を見ている。

そこへ、マルスが偶然通りかかり、ミホに話しかけた。

「ミホ王女は、皆と一緒に行かないのかい?」

「…………あなた誰よ?」

「あ……まだ名乗ってなかったっけ……僕はマルス。テンルウの従兄弟だよ」

その言葉を聞いてミホはピクッと反応した。

「テンルウ様の?」

「うん。テンルウの父親と僕の母は兄妹だからね」

「へぇ………そういえば何処か似てますわね」

「そう?僕はどちらかと言うと父に似てるからテンルウと似てるなんて言われたことなかったよ」

「いいえ。似てますわ………」

そう言ってミホはマルスに笑いかけた。

「ミホ王女って笑うと可愛いねぇ」

マルスに言われて顔を赤くするミホ。

「え……?」

「ホント、可愛いよ」

「そんなこと………言われたことなかった………可愛いなんて……」

「もう少し、自分に自信を持ったみたらどうかな?ミホ王女はミホ王女なりに良いところを持ってるんだしさ……」

「………マルス公子………有難う………私…シオン王女に協力するわ……」

そう言ってミホはすぐ傍にあった細身の槍の手入れをし始めた。

マルスもミホの横に座って剣を磨き出した。



ユーリは今懸命にシオンの傷を回復させている。

さすがにブラギの司祭なだけあって、傷はどんどん回復していく。

キイナもシオンからリライブの杖をもらい一緒に回復している。

「ユーリ、キイナ王女……大丈夫?無理しなくても良いのよ?」

「いいえ、シオン様の傷は絶対に回復してみせます」

「大丈夫よ、このくらいでへこたれてちゃセティの名がすたるわ」

シオンの身体からだんだん痛みが引いていく。

その時もシオン何かを考えていた。

<もし………そうなったら………私は………>



メルセデス王国の構造は次の4つの城でまかなわれている。

カンピナスのリデア・セドリックのネツァク・スイフトのティフェレト・ダットサンのイェソドの四つである。

ショウが考えた陥落作戦はネツァク・イェソド・ティフェレト・リデアの順番に攻め込むというものだった。

ショウは実はセドリックが傭兵を雇っているという情報を入手して考えた陥落作戦である。

ショウとしてもメルセデスへの攻撃命令はものすごくつらいことであった。

<ゴメン……カンピナス……約束………果たせそうにないよ……>

士官学校にいたときの記憶がよみがえる……

「ショウ、カンピナス、私達で誓いを立てない?」

レンスターの王女モニカが言った一言に二人は驚く。

「誓いって……?」

「私達は3人とも理想を持ってるじゃない?カンピナスはメルセデス王国をよりいっそうすばらしい国にする。ショウはシオン王女の力になってユグドラシルを繁栄させる。私はトラキアと同盟を組んで南北問題を解決する……って言う理想をね?」

「それがどうかしたのか?」

「だから、誓いを立てるの。私達3人のうち誰かが困っていたらたとえどんなことがあっても助けに行くって………」

「いいね。僕は誓うよ、ティルフィングの名にかけて!!」

「俺も……ミストルティンに誓う」

「そうこなくっちゃ!!!私ももちろんゲイボルグに誓うわ!!!」

そんな出来事がショウの頭の中をよぎる。

「……カンピナス……僕達はどうしたらいいんだろう……?」

そこへ、回復を終えたユーリとキイナと傷を完全回復させたシオンがショウのところにやってきた。

「ショウ……辛かったらここにいて良いのよ?」

「シオン様……そんな悲しそうな顔で僕を見ないでくださいよ……僕は大丈夫です。それに僕は国王陛下にではなく、シオン様に僕は忠誠を誓っているのですから……」

「ショウ………ゴメンね……私の力が及ばなかったばかりに……」

「いいえ、シオン様のせいじゃありませんから……」

ショウはシオンに心配をかけさせないようにできるだけ明るく振舞おうと心に誓ったのであった。



シオン達がメルセデスの国境に入り、目の前にだんだんネツァクが見え出してきた頃、近くにあったフェットチーネ村が炎上していた。

「シオン様、村が襲われてます!!」

「ヨウスケ、キイナ王女。村の方をお願いできるかしら?」

「はい、シオン様」

「わかったわ」

そう言ってヨウスケとキイナは火のての上がっている村へと急いだ。

「シオン、傭兵団が来たぞ」

テンルウの一言に皆が武器を構える。

「シオン、俺からなるべく離れるなよ?」

「はい」

一方コウヘイは上空で傭兵団を発見し、グングニルを構え戦闘準備に入った。

「お兄様!!」

ミホがペガサスに乗ってコウヘイの傍に来た。

「お前………いたのか?」

「私も戦う」

「好きにしろ。ただ………無茶すんなよ?」

「うん!!!」

オスカーとキラもそれぞれ武器を構える。

「キラ、無理しないでね」

「オスカー様も無茶はなさらないで下さい」

「わかってるよ!!」



かくして、ネツァク軍対シオン軍の戦いは始まった。

テンルウが選伐して、敵をなぎ倒していく。




「流星剣!!!」

その剣はいつ見ても鮮やかですごく華麗なものである。

そしてシオンはテンルウの後ろの方で魔法援護をしていた。

<聖なる光よ!!大きな柱となり敵を滅ぼせ!!>

シオンが呪文を唱えたあと、両手で印を切る。




「光魔法、オーラ!!!」

掛声と共にシオンは両腕を天に掲げる。

すると敵の足元から聖なる光が現れ敵を包みこみ攻撃する。

キラは狙いを定め、イチイバルで応戦する。




「ライトニング!!!」



オスカーも魔法で敵を打ち払う。

マルスもテンルウと一緒に前線に出て戦っている。

コウヘイも珍しくグングニルを投げずに直接攻撃を仕掛けている。

マグの扱いは誠に華麗で急降下をし攻撃して上空へまた戻るといったカッコイイ動きを見せている。ミホも兄に負けじと直接攻撃で挑む。




「エルサンダー!!!」



ルサールカは異型で剣から魔法を発動させている。

マージナイトの彼女は魔法の他に剣も使用できる。

彼女の前線でパラディンのクリシュナと一緒に戦っている。



一方、村を守りに言ったヨウスケとキイナは………

「貴方、トードの直系なんですってね?」

「ええ。まだ半人前の魔道士ですが、一応トードの直系です」

「へぇ………じゃ、腕前は村のほうで見せてもらいましょうか?」

「ふふ………そう言う貴方だってセティの末裔でしょ?」

「でも今はフォルセティを持ってないわ」

そう会話しながら、二人は急いで村のほうへ急ぐ。

村についたときの惨状は見るに耐えなかった。

山賊が次々に村人を殺していたのだった。

「やめなさい!!!罪もない人を殺して何になるの!!!」

キイナがそう言うと山賊は笑って、キイナとヨウスケのほうに近づいてきた。

「悪いが、セドリックの命令だ。あんた達には死んでもらうぜ?」

「それはこっちのセリフだ」

するとヨウスケは一冊の魔道書を取り出した。

<遥かなる雲に呼ばれし聖なる雷よ、我の意思に従い閃光となりて敵を滅ぼせ!!>

そしてヨウスケは少し長い印を切った。



「トールハンマー!!!」

ヨウスケの呼び出した雷は黒球に包みこまれ、それを一気に爆発させた。

「ぐああああああああああああああ!!」

ヨウスケのトールハンマーは周りにいた山賊数人を一撃で葬り去った。

「貴様………やってくれたな!!!」

そのときキイナはすでに術の詠唱を終え印を切った。



「トルネード!!!!」

キイナが力ある言葉を言い放ったあと、キイナの周りに突然強い風が吹きこみ竜巻となって山賊に襲いかかった。

山賊の半数は竜巻に飲まれ、遥か彼方に飛んでいった。

それでもまだ多くの山賊がヨウスケとキイナを襲う。

「さすがに数が多いな……」

「でも、私達には勝てないわよ?!」

そう言って二人は呪文を詠唱し、印を切る。



「トローン!!!」




「エルウインド!!!!」

二人の魔法が山賊を次々になぎ払っていった。



傭兵団をあらかた片付けたシオン達はネツァクへと向かう。

その時に何人かの兵士を倒していた。

「………真打ち登場だな………」

「……………」

ほとんどが騎馬部隊が主流のネツァク兵は滝がなだれこむかのようにシオン達に立ちはだかった。

「我はネツァクの将軍、ラウム。この先のお相手は我等がする!!」

その声を合図にネツァクの軍がシオン達に襲いかかった。

すると、シオンがテンルウの前に立ちはだかった。

「シオン?!」

「私の本当の力………お見せ致します………」

シオンは懐からナーガの魔道書を取り出した。

「今度はナーガのロッドではなく、魔道書自体の力を解き放ちます。あの時のナーガとは比べ物にならないくらいの力………ナーガのロッドで唱えたナーガはちょっとした力を小出ししたにすぎません………テンルウ様、少し下がっていてください」

シオンに言われ、テンルウはシオンから離れた。

<光の龍よ……我が身を寄り代に聖なる力を解き放て………>

呪文を詠唱したとたんに大気が震え、風が止んだ。




「ナーガ!!」



その言葉と共にシオンの姿は金龍にと変わったのである。



「あれが………伝説の光魔法ナーガ………」

光龍と化したシオンが吼える。

その声は龍のわりには高く、歌っているような雄たけびだった。

ネツァク兵はシオンを恐れ、逃げ出すものすらいた。

テンルウ達はただ黙ってその光景を見ている。

だが、光龍はネツァクの兵士を睨みつけ、白いブレスを吐いた。

そのブレスに包まれた者は次々に倒れていく。

ブレスの効かなかった兵士にはシッポで叩きつけた。

その光景は異様で、時には味方すら怯えさせることも可能なくらい恐ろしい光景であった。



あらかたネツァク軍を片付けた時、光龍はもとのシオンの姿に戻り、シオンはその場に倒れこんだ。

「姉上!!!」

「シオン!!!」

テンルウはすぐさまシオンの身体を抱き起こす。

「大丈夫………魔力を使いすぎただけ………すぐに……元に戻る……から……」

そう言ってシオンは軽い寝息を立てて眠ってしまった。

テンルウはシオンの寝顔をじっと見ている。

<シオンの寝顔って……いつ見ても可愛いなぁ……>

何てことを実は考えていたりしていた。

「ナーガの魔法は……私もはじめて見ました。」

「オスカー、見たことなかったのか?」

「父上も陛下もナーガの魔法を使おうとはしませんでしたから……」

「でも、後継者なんだから一度くらいは………」

「父上も陛下も、姉上みたいに本当の力を引き出すことができないんです…その点では本来ナーガは巫女が使う魔法なのかもしれませんね……」

そう話しているうちに、ヨウスケとキイナが帰ってきた。

「ヨウスケ、お帰り。どう?村のほうは」

「村の惨状はセドリックの仕業のようです」

「山賊を問い詰めたところ、セドリックに雇われたと言っていましたわ」

「………シオンは寝ちゃったしなぁ……ショウ、上策は?」

テンルウに言われ、ショウは慌てて考え出した。

「そうですね……このまま突っ切っても問題はないと思います」

「そうか。オスカー、シオンを……コウヘイ!!降りて来い!!!」

テンルウはシオンをオスカーに預け、コウヘイを呼んだ。

コウヘイはすぐに降りてきた。

「なんだ?」

「このまま突っ切るぞ」

「俺は別にかまわないが?」

「これから城に乗りこむのに、マグに乗ったまま行けるわけないだろ?」

「…………それはそうだが……?」

「だから呼んだんだよ。バーカ」

「……………………」

この二人は本当に仲が良いんだか悪いんだかサッパリわからない。

その二人の会話を聞いてキイナとキラは笑っていた。



ネツァク城はあれで最大の戦力だったらしく、城にはあまり人という人はいなかった。

城に乗り込んだのはテンルウ・キラ・コウヘイ・マルスの四人である。

「誰もいませんねぇ……」

「いないな」

「あれで全員だったんじゃないのか?戦力………」

「随分と貧弱な軍隊だな」

「俺達、人のこと言えないんじゃないのか?」

そんな会話を交わしながら、テンルウ達4人は城の奥へと入っていった。

すると………

王の間についたのであった。

そこには一人の男がいた。

テンルウはその男に話しかけた。

「お前がここの城主のセドリックか……?」

「タコにも………」

「なに?」

「………イカにも……私がここの城主のセドリックだ」

「村に山賊を放ったのもお前か?」

「カニにも………」

・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
「イカだろ?」

「ゴホン……イカにも……」

<コイツ……バカだな………>

<狙ってやってるのかしら……?>

<今時そんなこというやつ何処にもいないぞ?>

<変わってるな……この人……>

それぞれの心の声である。

「自分の国の村に山賊とは………私腹でも肥やそうとしてたのか?」

「フグ………」

「くどーい!!!」

4人の言葉がシンクロする。

「イカにも……自分の私腹を肥やしてバカンスを楽しむことの何が悪い!!!」

「あ~……バカに付き合ってらんねぇよ……」

「同感ですわ、テンルウ様」

「右に同じく」

「僕も」

4人の顔はすでに呆れモードに入っている。

「とにかく!!良くぞここまで来たな……ナディア軍よ……」

「別に?苦労しなかったよな?」

「シオン様の魔法で一掃しましたし。」

「俺達ほとんど何もしてないよな?」

「正確には傭兵団一掃しただけだよね」

4人は顔を見合わせてそう言った。

「何?!あれだけの軍を一人で一掃したのか?!」

「伝説の魔法には勝てないよな?」

「武器もかなりそろってますしね」

「いくつあったっけ?」

「そうだね……4つはそろってるよ」

「……………」

セドリックはあまりのショックに絶句してしまった。

「とりあえず、お前寒いこというから死ね」

「その方が国のためですわ」

「城主が私腹肥やしちゃ駄目だろ」

「村のためにもよくないよ」

そういわれ、あっさりとテンルウに首を取られたセドリックなのであった……。




作者:いや~。雪積もって大変だわ…

テンルウ:おまえな……こう言う変なキャラ増やすなよ?

作者:コウヘイよりバカなキャラ作らなきゃコウヘイの立場ないじゃん?

テンルウ;それもそうか!!

コウヘイ:納得するな!!

作者:よかったね。あんた以上のバカがいて……

コウヘイ:………・

キラ:ホント、あれには呆れましたわ

シオン:そうね……私あの場所にいたらキレてたわ…

テンルウ:え………?

シオン:どうかしました?テンルウ様?

テンルウ:いや………(シオン怒ると怖いんだよな……)

キラ:でもたまにはシリアスではなくギャグもいいですわよね~

作者:次回もそうしようかな……?

コウヘイ:……………