ユグドラシル聖戦記

祖国の裏切りに絶望を抱いてしまったシオン。

不安定な気持ちの中、グランビア軍はシオンを狙って進軍してくる。

そのグランビア軍の指揮官は18歳の少年だった。

その名はトンベリ。

グロリア城の公子で聖斧スワンチカを継承した。12聖戦士の一人である。

トンベリは陛下の命に従い、シオンを連れ戻しに来たのであった。

第20章 愛ゆえに……

グロリアの将軍であるキャデラックは、トンベリの気持ちを察していた。

「トンベリ様……」

「仕方ないさ……陛下のご命令だ………」

臣下として任務を果たしに来たトンベリ。

だがその胸中には別の意思があった。

その意思はキャデラックにもわからなかった。



完全に自分の殻に閉じこもってしまったシオン。

テンルウはそんなシオンを見ているのがすごくつらかった。

それでもテンルウはシオンの支えになりたかった。

「シオン……」

シオンの肩に手を添えるテンルウ。

けれどシオンは何も話そうとはしない。

やむなくテンルウはシオンを残して戦う決意をする。

「………ユーリ、相手の狙いはシオンだけなんだろ?」

「ええ……」

「なら………シオンをここに残して城を死守だ」

テンルウの一言に皆は驚きを隠せない。

「テンルウ様………それは……」

「テンルウ様、シオン様を一人残されるなんてあんまりじゃないですか?!」

ユーリはテンルウに少し怒った感じで言う。

「しょうがないだろう……シオンがこんなんじゃ指揮も取れないだろうし……指揮は俺が取る。ショウ、すぐに作戦に移るぞ」

「は……はい」

そう言ってテンルウとショウは別の部屋にへと行ってしまった。

「ユーリ、テンルウの気持ちも少しはわかってやれ。」

「でも………」

「あいつなりに王女が心配だし、王女が大切なんだよ………」

「コウヘイ……」

ユーリはコウヘイに宥められて少し考えこんだ。

「なら私も一緒に城に残ります」

「そうしたほうがいいかもな……王女一人じゃ……」

「ユーリ……姉上をお願いするよ………」

「はい」

そしてルサールカもオスカーに言った。

「オスカー様。及ばずながら私も残ります」

「ルカ……そうだね、お付きの君になら任せられるよ」

「はい!!クリシュナはオスカー様と共に参ります」

「わかったよ」



こうしてシオンのいないまま、テンルウ達は城の死守と言う作戦のもと、戦いに出ていった。

シオンはあれからずっと黙りこんだままだった。

「シオン様………」

ルサールカもユーリもシオンが心配で仕方がなかった。

かく言うオグマとイナルナも母親がいつもと違う雰囲気をかもし出しているのに気付き、シオンから離れようとしない。

「マーマ……」

「……………」

子供たちの呼びかけにもいっさい答えないシオン。

「マーマ…………」

オグマとイナルナはシオンに抱かさってシオンの頬を撫でる。

「ありがとう………私はもう大丈夫よ……」

そう言って二人を抱きしめる。

「ユーリ……ルカ……ちょっとだけ……一人にさせてくれないかしら?」

「は……はい」

ユーリとルカは子供たちを連れて部屋を出た。



そしてしばらくしてシオンはある決心を固めた。

子供たちと自分の愛する者、そして大事な仲間達を守る為に……。

シオンは別室に行っていたユーリとルカのいる場所に向かった。

「シオン様………大丈夫ですか?」

「ええ、大丈夫よ。オグマ、イナルナ。おいで」

シオンは膝をついてオグマとイナルナを呼んだ。

オグマとイナルナはシオンの呼びかけに答え、シオンのもとに来る。

そしてシオンは二人をぎゅっと抱きしめた。

「マーマ……いたい……」

「あ、ごめんね………でも……これで最後だから……」

その言葉にユーリとルカははっとした。

「シオン様………まさか……」

「シオン様、テンルウ様の気持ちを無駄になさるおつもりですか?!」

「これしか………これしかないの……皆を守るには……」

「けれど……」

ユーリとルカはかなり困った顔をする。

「ごめんね………やっぱり私……」



その頃のテンルウ達はミホとコウヘイは上空で偵察、他のメンバーはつり橋の前で待機していた。

「ショウ……どう思う?」

テンルウはショウに聞く。

「僕もそこまではちょっとわかりかねます」

「でも向こうの指揮官はお前等と同い年なんだろ?」

「ええ………トンベリは僕やヨウスケなんかより遥かに優れてますから……」

と、そこでコウヘイが相手のの動きを察知した

「テンルウ、仕掛けてきたぞ!!」

「わかった!!」

その言葉に全員が戦闘態勢に入る。

皆がドタドタしていたその頃……

シオンが歩いてきたのである。

「あ、姉上!」

オスカーの声に反応するテンルウ。

だがシオンは手ぶらだった。

「シオン、どうして城から出てきた?」

「貴方に急に会いたくなって……」

オスカーは状況を察したのか、キラの元へと歩いていった。

「シオン、一体どうしたんだ?昨日といい………」

「どうしてでしょうね……何だか……自分が遠くにいる感じがするからでしょうか?」

シオンはそう言うとテンルウに抱き付いた。

そして、そのまま目を閉じて口付けを交わす。

テンルウもシオンのその好意にこたえる。

テンルウはシオンの肩を掴み、シオンを離した。

「シオン。城に戻れ。ここは俺達で何とかするから……」

「………テンルウ様……」

「何だ?」

シオンは笑顔をでこう言った。

「愛してますわ……これからもずっと…………」

「ああ、俺も愛してる」

テンルウはそう言ってシオンの頬にキスをし、そのままショウのいる方にへと去って行った。

「………テンルウ様…………ごめんなさい………」

シオンのその言葉は妙に淋しげであった。



ユーリは後悔していた。

シオンを城の外に出してしまったことを……。

シオンはロッドとナーガの魔道書をイナルナに託していった。

その事が何を意味するかはユーリとルカにはわかった。

「やっぱり……このまま見過ごすわけには行かないわ!!」

「ユーリ様。テンルウ様には私から伝えます。すぐに行ってきますわ!!」

ルカは走ってその部屋を出て、馬に乗りテンルウのもとに向かった。

「ルカ……頼んだわ………」



コウヘイは上空で相手の動きをテンルウ達に伝えていた。

そこでコウヘイはシオンがつり橋を渡っているのを見た。

「王女?何してるんだ?あんなところで………」

コウヘイは疑問に思ったもののそんなに気に留めなかったのである。

それが、まずかった………。

テンルウのもとにルカが駆けつけて来た。

「テンルウ様!!!」

「どうした?ルカ?」

「テンルウ様、シオン様は?!」

「え?さっき逢ったけど……」

「テンルウ様、すぐにシオン様を止めてください!!!」

ルカの目には涙が微かに浮かんでいる。

それを見たオスカーはルカの様子に気がついた。

「まさか……姉上……」

「お願いテンルウ様!!シオン様を……このままじゃシオン様が!!」

その言葉でテンルウはシオンの行動を思いだした。

どう考えてもいつものシオンの行動じゃない。

テンルウの心に不安がよぎる。

そして後ろを振り返った。

テンルウが見た時すでにシオンはつり橋を半分以上渡りきってしまっていた。

テンルウとオスカーは急いでつり橋の方へ向かった。

「シオン!!!」

シオンはテンルウに呼ばれ、振りかえった。

「シオン、何処に行く気だ?!戻って来い!!」

「いいの……私の命一つで皆を守れるなら………」

「お前、何考えてんだ!!!戻って来い!!!」

「姉上!!!」

オスカーの言葉にもシオンは耳を貸さない。

「テンルウ様………子供たちをお願いします」

その時のシオンの笑顔は結婚する前の初々しい少女のような笑顔だった。

「コウヘイ!!!シオンを連れ戻してくれ!!」

「わかった!!」

コウヘイがシオンのもとに近づこうとする。

すると……。

「ウインド!!!」

シオンはコウヘイに向かって魔法を放った。

コウヘイはそれをかろうじて避ける。

「来ないで!!来るなら………容赦はしないわ!!!」

魔法攻撃に弱いコウヘイはむやみにシオンに近づけない。

そうこうしている内にシオンはつり橋を渡りきり、そしてその縄をナイフで切った。

つり橋は音を立てて川に落ちていく。

「シオン!!」

「姉上!!考えを改めてください!!!」

シオンはうつむいた。

けれどすぐに顔を上げて笑った。

「皆……元気でね………」

シオンはその後、テンルウの呼びかけにも反応せず、メルセデスのある方へと去ってしまった。

オスカーは気が動転してしまい、その場に座り込んでしまった。

クリシュナはそれを見てオスカーを立ちあがらせる。

テンルウはというと………

唇が切れるまで噛みしめていた。

一筋の血が流れ出ている。

「テンルウ様…………」

「テンちゃん……」

マルスもその様子を見て、テンルウの肩に触れた。

テンルウは微かに震えていた。

「また………守ることができなかった………大事な人を………」

「テンちゃん………」

「シオン………許してくれ……必ず、助けに行くから………」

そう決意するテンルウだった。



シオンはユグドラシル軍の元へと歩いていった。

そして、一人の騎士と遭遇したのである。

「私はグランビアのシオン……指揮官にお目通りできませんか?」

その言葉に一人の騎士は戸惑った。

しかし、ある命令が下っている騎士は行動に出た。

「シオン王女様、お待ちしておりました。トンベリ様の元に、今お連れ致します。」

そう行って騎士は馬をさっきまで来ていた方に向けてゆっくり歩き出した。

シオンはその後について歩き出す。

30分ほど歩くと、指揮官のいる野営地についた。

「トンベリ様、シオン王女様をお連れしました」

トンベリはその言葉を聞いて椅子から立ちあがった。

「何?!」

そしてその騎士はシオンをその場所に通した。

「お久しぶりですね。トンベリ」

「シオン様!!!」

「私がここに来たのですから……ほかのものの命は保証してくださいますね?」

「ええ、もちろんです。兵にはこの地をひく様に伝えます」

そう言ってトンベリはキャデラックに兵に引き上げるようにと伝えた。

「トンベリ……おじい様に言われてきたのですか?」

「はい、ですが私は、シオン様をヴィッツ様の元に連れていくつもりなど毛頭ありません。シオン様の身柄は私が預かります。」

「でもそんな事をして大丈夫なの?」

「いいえ……シオン様は私が守ります………シオン様が愛していらっしゃる人の変わりに……その人からシオン様を引き離したんです。それは当然のことでしょう……」

トンベリはシオンの前に跪いた。

「トンベリ……」

「私の主君はヴィッツ様ではなく、シオン様ですから……」




ロードスターの城内には悲しみの雰囲気が流れている。

テンルウもオスカーもあれから一言も話そうとはしない。

ユーリも後悔しているせいで塞ぎこんでいる。

誰一人、その3人に話し掛けようとはしなかった。

そこへ………

「キイナ王女……センティアからあなたに客人です」

「え……?」

キイナの表情が一瞬ひきつる。

<ばれた………ばれてる………ばれてるよ~!!!>

顔がサーっと青くなる。

「キイナ王女様。母上の命により、貴方を迎えにまいりました」

「げ………ミラージュ……」

「なんです?その『げ…』は?」

キイナはこの天馬騎士のミラージュが苦手であった。

理由は……言うまでもないだろう……

「フォルセティの継承者たるものがいつまでもほっつき歩いて……いいかげんになさいまし!!!」

「………はい………けど……ここにいるみんながいなきゃ私は帰らないわ!!」

「なら、一つ空き城がありましたから、そこに来ていただくのはどうですか?」

「ちょっと……本気で言ってるの?」

「本気です」

ミラージュの一言に完全に黙り込んでしまったキイナ。

けど、今のこの状況でこのメンバーがここを動くことはないに等しい。

「…………行く」

「え?」

その言葉を発したのは、コウヘイだった。

「この状況でこいつらこのままにしたらいつまでたっても王女を連れ戻せないぞ?」

「それは言えてるかも………」

「テンルウ、そう言うことだから行くぞ」

「……………」

魂が半分抜けかけてる彼にはその言葉を耳に届いていない。

「我々センティアの天馬騎士団が貴方がたをセンティアまでお運びいたします」

「……………結局帰らなくちゃならないのね………」

キイナは思いっきり肩を落とし、そしてあきらめた……。




作者:無理やり完成、20章!!!

テンルウ:……………

オスカー:………………

作者:し…辛気臭い……

コウヘイ:こいつらに会話を求めること自体が間違っている。

作者:コウヘイ……あんたに会話を求める事も間違っていると私は思う……

コウヘイ:……何故に?

作者:馬鹿だから

コウヘイ:……動く必要など………

作者:あんたの本体、それかなり気に入ってるよな……

コウヘイ;『シヴァ』という通り名も気に入ってるしな

シオン:ああ………これからまるっきり出番がなくなるのね……

作者:あとがきには出してあげるよ。でもテンルウとは一緒に会話させない。

シオン:なんで……?

作者:お前等二人揃うとやかましいから……

シオン:ブチッ

この先はあまりにひどい内容のため、お送りできません

シオン:ふっ……