ユグドラシル聖戦記

センティアの動乱は収まった。

今のセンティアは王族不在ではあるものの、グッチがキイナの変わりに政治を行ってくれている。

そこでテンルウ達は、ある人物に出会う。




第24章 ティルフィングに託されし意思、イチイバルの涙




ファンカーゴ城から約6キロ離れた場所にインプレッサ城がある。

そこはセンティア王国とユグドラシル王国の国境の境目に存在した。

テンルウ達はそこで作戦を練っていた。

だが、そこで思いも寄らない人物に出会うのである。



「ショウに…………これを早くショウに渡さねば…………」



ショウを知っているこの人物………

一体何者なのか……………




「何?!プリウスを逃がしただと!!一体今まで何をやっていたんだ!!!」

「申し訳ありません!!ガイア様…………」

「まぁいい……今のあやつの身体ではそう遠くへは行ってないはずだ!!しかし、息子に逢われでもしたら厄介だぞ!!いいか?!その前に殺せ!!」

ガイア…………この強欲な男は聖斧スワンチカを継承したトンベリの父親である。

そしてプリウスこそ、今まで行方不明だったショウの父親だった。




「テンルウ様!!何やら東の方が騒がしいのですが?」

「東って………確かアティルト砂漠がある方角じゃないのか?」

「ええ。おまけにアティルト砂漠を管理しているエスティマ城から軍が……」

「何?!何処の軍隊だ?!」

「あの旗は…………ユグドラシル王国のグラオリッターです」

グラオリッターはユグドラシル王国・グロリア家の精鋭隊である。

「なんで軍隊が…………」

「どうやら、別の騎士を追っているようです」

「騎士…………?」

「誰かはわかりませんが、助けたほうがいいと思います」

ヨウスケは淡々とそう語る。

テンルウはしばし考えこむ。

「ショウ………出陣の準備」

「わかりました。皆に伝えます」

「何言ってるんだ?!お前もだよ」

「はい?」

ショウはその言葉を疑ってしまった。

今、確かにテンルウはショウに「お前も出陣だ」と言った。

「お前にしちゃ初陣だからな………しっかりやれよ」

「え………戦ってもいいんですか?!!」

「当たり前だろ?俺がみっちり鍛えてやったんだ。そろそろ実戦で実力を試してみるのもいいだろ?」

「はい!!!」

<シオンが騎士の称号まで与えたんだ。もうそれくらいしてもいいよな。けど………多分これが最後になるだろうな……ショウ……>

テンルウはそう考えていた。




テンルウ達はすぐに出撃した。

そこで見た光景は、あまりに酷だった。

一人の騎士に群がるグラオリッター………

多対一の光景は見られたものではない。

ショウはその一人の騎士に見覚えが合ったのだ。

思わず叫ぶショウ。

「父上!!!」

ショウの言葉にテンルウ達は驚いた。

ヨウスケもじっとその騎士を見る。

「あ!!あれは確かに………プリウス様だ!!」

「父上!!!」

ショウはなりふり構わず相手に突っ込んでいった。

「ショウ!!!」

テンルウはショウを心配してその方角へ走っていった。

「皆!!行こう!!」

ヨウスケの声で皆がショウを追いかけていった。





「父上!!」

「ショウ?!!」

プリウスはその眼に自分の息子を見た。

プリウスはこっちへ来るなと言わんばかりに首を横に振る。

ショウの戦闘下手を知っているからだ。

だが、ショウは今日まであのテンルウにみっちり絞られている。

今のショウにためらいなどなかった。

ショウは銀の剣を片手にグラオリッターにかかっていった。

「貴様等、邪魔だぁ!!!」

ショウは思いっきり剣を振り下ろした。

「ぐああああ!!!」

斧騎士はショウの一撃をまともに受け、馬から落ちた。

「ショウ?!!」

その光景はプリウスにとっても驚きであった。

あの戦闘下手のショウが一撃で騎士一人を倒したのだ。

「父上!!大丈夫ですか!!!」

ショウはすぐにプリウスに駆け寄った。

父を馬から下ろすショウ。

丁度その頃、テンルウ達がショウのもとに到着し、残りの騎士たちを倒していた。

ショウはプリウスを支えた。

「父上!!」

「待って!!今私が回復を………」

ユーリがプリウスに駆け寄ってリライブをかけた。

「すまない、ユーリ殿。だがわしはもう助からんじゃろう」

「父上、何をおっしゃいますか!!久しぶりにお会いできたのに…………」

「よいか………ショウ……よく聞け。今のシオン様は以前のシオン様ではない……気をつけろ……」

「父上………」

「今の戦いを見て安心したぞ、ショウ……これでわしもお前に心置きなくティルフィングが継承できる」

「父上……………」

「士官学校で持たせた時は全然使いこなせてなかったから、再びわしが使ったが………もうお前の手に渡しても良いだろう」

だんだんプリウスの命の灯火が消えていこうとしている。

それをショウは感じ取っていた。

「父上………貴方のご意志とこのティルフィングは私が継ぎます!!」

「シオン王女を助けてやってくれ………あの方はきっと……………」

その言葉を最後まで言いきれなかったプリウスはそのまま息を引き取っていった。

テンルウもその言葉を最後まで聞きたかった。

「ショウ…………」

ヨウスケがショウの肩に触れた。

「大丈夫。僕は絶対に泣かないよ。シオン様を………助け出すまでは……!!!」






ガイアはある部隊に援軍要請をしていた。

その部隊とは………

「コウキ公爵、待ちかねていたぞ!!」

そう、紛れもなくあの時ミラージュ隊を襲ったキラの弟、コウキだった。

「で?結局ショウにティルフィングが渡ってしまったと……そう言うわけですか?」

「ま……まぁ……そう言う事だ………」

ガイアは言いにくそうにそう言った。

「わかりました。いいでしょう。ちょうど僕も姉に用がありましたから……いい機会でしょう」

「姉か…………噂だとオスカー様と結婚したらしいな」

「そのようですね。ですが我々の手にはシオン様がいる。オスカー様もそうやすやすと我等には手をかけられないでしょう」

「そう言う事だ」

「では行って来るとしよう」

コウキはそう言って軍を率いてキラのいるところへと向かった。

「ちっ…………クソ生意気なガキめ…………」






「キラ………」

「私は………コウキを許さないわ………」

「でも……」

「コウキは………ミラージュさんを殺した…………しかも騎士にあるまじき卑劣な方法で…………だから………私はあの子を殺します……」

「キラ…………」

オスカーはキラを哀しそうな眼で見た。

「オスカー様………こんな私でも愛してくださいますか?」

キラは少し眼に涙を浮かべながらオスカーに言った。

「もちろんだよ。キラ………私は例えどんなことがあっても君の事を愛してる」

「オスカー様……………」

そんなキラをぎゅっと抱きしめるオスカーであった………




ヨウスケはそんなキラ達を見ていた。

「キラ………辛いだろうな」

そこへキイナがやってきたのだった。

「ヨウスケ………どうしたの?」

「あ……キイナ王女……何でもないですよ」

「あのさ……お願いがあるんだけど……」

「なんですか?」

ヨウスケは首をかしげてキイナを見た。

「キイナって呼んで欲しいな」

「え………?」

「私さ………わかっちゃったんだ」

「な……何がですか?」

「貴方の気持ち」

そう言われて顔を真っ赤にするヨウスケ。

「で、自分の気持ちもわかっちゃった」

「キイナ王女…………」

「好きだよ………ヨウスケ………」

キイナが風に吹かれながらヨウスケにそう伝えた。

「………………」

沈黙が二人の間を支配する。

ヨウスケはキイナの言葉が信じられなかった。

でも、ヨウスケの今の気持ちはただ一つだった。

「僕も…………好きです………キイナ…………」






1時間後―――――――――――――

コウキの率いるバイゲリッターはテンルウ達のもとに姿を現した。

「テンルウ様、ここは私に任せてください」

キラがそう言ってテンルウの前に立ちはだかった。

「キラ……?」

テンルウはキラの様子がいつもと違うと言う事に気がついた。

キラが敵に向かって歩いていった。

「コウキ!!!いるんでしょ?!姿を見せなさい!!!」

キラはそう叫んだ。

「久しぶりだね。姉さん」

「コウキ……………」

キラは馬に乗って姿を現したコウキを睨みつける

「悪いが姉さん、ここで死んでもらうよ。今のあんたはシオン様に逆らった逆賊……オスカー様とてそれは同じ事なんだから………」

「シオン様はそんな方じゃないわ!!」

「なら言わせてもらうよ?もし仮にそうじゃなかったとして……結婚してるにもかかわらず他の男に現を抜かしているっていうのはどう説明するんだい?」

「な…………………」

キラは完全に言葉を失った。

それを聞いたテンルウは怒っている。

「てめぇ………でたらめなことばかり抜かしやがって………!!!」

「でも事実だよ。現にあの方は別の人と仲良くやってる。それに僕にセンティアまで出向かせたのはシオン様さ」

「そんな………嘘よ!!シオン様に限ってそんな………」

「事実だってさっきから言ってるでしょ?しつこいなぁ……姉さんも……」

コウキが呆れた顔をしてキラに言った。

「とりあえず、そう言う事だから。姉さん。ここで死んでもらうよ」

「コウキ………それはこっちの台詞です!!」

そう言ってキラはイチイバルを構えた。

だが、もうすでにコウキは動いていた。

矢がキラに向かって放たれた。

「きゃあ!!」

キラは左腕と右足に矢を受けてしまった。

突き刺さった矢から血が流れ出している。

「キラ!!」

傷ついた左腕の事なんて気にせず、キラはイチイバルを構え、狙いを定める。

そして、イチイバルの矢を射った。

その矢はコウキの心臓を貫いていた。

馬から落ちるコウキ。

キラは左腕を右手で支えながらその光景を見ていた。

「キラ!!」

オスカーがキラの所へ走ってきてライブをかける。

キラはオスカーの胸に顔を埋めた。

「キラ……………」

キラは声を立てずに泣いていた…………






エスティマ城では今とんでもないことが起こっていた。

「父上…………悪いが貴方には死んでもらいます………」

「トンベリ……貴様…………」

「私は……………貴方のやり方には我慢できない…………今まで人々を苦しめた罪………ここで償ってもらいます」

「父であるわしを殺そうと言うのか!!」

「貴方は………クオリス様はおろか………シオン様にまで…………私の敬愛するシオン様を傷つけたこと………絶対に許さない!!!」

トンベリはガイアに向けて斧を振り下ろそうとする。

「シオン様に関してはわしは関係ない!!!」

「だが……貴方はその事を始めから知っていた……………私はそれが許せない!!」

「や……やめてくれ………トンベ………」

その言葉を待たず、トンベリはスワンチカを振り下ろした。

ガイアの血がトンベリの頬にかかる。

「貴方達のせいで………シオン様は…………」




こんなことが起こっていたことも知らず、テンルウ達はエスティマ城へと足を進める………




作者:しりきれとんぼな終り方やのう……

テンルウ:……お前さ………やるきある?

作者;あるわよ?!

テンルウ:あるのか?!!!

作者:なによ?あったら悪いの?!!

テンルウ:そうか………なら……

作者:ちょっと待て……何故服を脱ぐ?

テンルウ:やる気あるんだろ?

作者:そっちか!!!そっちの方はやる気ないぞ?!!

テンルウ:なんだ………

作者:あんた………そこまで欲求不満なわけ?!

テンルウ:当たり前!!お前の策略のせいで溜まりまくり!!!

コウヘイ:こいつなんとかしろって………最近見境がなくて……

作者:………………(滝汗)