ユグドラシル聖戦記

シオンは窓から遠くをじっと見つめている。

こうしている時が一番落ちつく………

けど、運命はその落ち着く時すらも奪ってしまった。

そして…………

悲劇は起こったのである………




第27章 気高き薔薇と氷の微笑




シオンはバサラの手によってトンベリのいるグロリア城からグランビア城まで連れ戻されてしまった。

それがテンルウと離れてから11ヶ月後のことである

グランビア城は何も変わっていなかった。

変わっていると言えばそこにはもう父クオリスがいないのである。

そして、オスカーの姿も…………

「兄上、彼女が痛がっています。その手を離してあげてください」

シオンはその声に聞き覚えがあった。

だがこの数年間その声を全く聞いていない。

聞けるはずもない。

「そ………そんな………どうして………………」

シオンはその時姿を現した者を見て、自分の目を疑った。

幻かと思った。

そこには………数年前に死んだ、バサラの弟のオペルがいたのだから……

「オ………オペル様…………」

「シオン、しばらく見ないうちにまた綺麗になったね」

オペルはそう言うとシオンの頬に手を振れた。

「…………」

バサラはその様子をじっと見ていた。

「シオン、俺が傍にいなくて淋しかっただろ?だからその分の愛を受け取ってくれ……」

オペルはシオンの唇を奪おうとした。



パァン



が、シオンはオペルに平手打ちをしたのである。

「シ………シオン………?」

「オペル様には悪いですけど……私は貴方のことを何とも思っていませんわ。私が愛しているのはあの人だけ………アリストのテンルウ王子だけですわ!!」

その時、オペルはシオンの左手の薬指にはまっている指輪を見た。

「シオン…………」

オペルから異様な気配を感じる。

シオンは爆風に飛ばされ柱に叩きつけられた。

「はぅっ……………」

激痛が走り思わず声が出るシオン。

「…………あの時確かに………あの時確かに………………………アリストの王子と………?シオン………ちょっとお遊びが過ぎるよ………!!!!」

「オ………オペル様…………!!」

「シオン…………君には失望したよ………同じ事を二度もやるんだからね……一度だけだったら許せたものを………どうやらお灸を据えてやる必要がありそうだね………」

その言葉の後にシオンは亡霊の叫び声を聞いた。

思わず耳を塞ぐシオン。

「まさか………これは……ヨツムンガンド………!!!」

バサラも同じく耳を塞いでいる。

その顔はとても苦しそうだ。

「オペル様…………!!貴方…………」

「オペル………!!!」

「兄上ももう用済みだ!!今までよく働いてくれたね」

「オペル………ウイングを………ウイングを返せ!!」

その言葉を聞いてシオンは全てを察知した。

バサラはこのオペルに操られてただけだったと言う事を………

しかも子供まで人質に取られていたと言う事も……

「ウイング?ああ……あの子ならとっくにロプト教団に差し出したよ。ロプト教団で英才教育をしてくれるそうだ。喜ぶと良いよ兄上」

「オペル……貴様!!」

「オペル様…………!!!」

シオンの心は怒りに満ちていた。

許せなかったのである。

「オペル様………最低ですわ………!!!!自分の甥を人質に取るまでか暗黒教団に差し出すなんて!!」

「シオン、お前は黙っていろ」

「いいえ!黙りませんわ!!貴方自分が何をしているかわかってらっしゃるの?!私は………貴方のような身勝手な人が一番大嫌いですわ!!!」

「…………」

オペルはシオンの言葉を聞いて黙りこんだ。

もはやオペルには何も聞こえない。

「シオン…………俺のために死んでくれ………そしてその身を暗黒神に捧げてくれ!!」

オペルはシオンに攻撃をしかけた。

「シオン様、危ない」

その時…………

バサラがシオンをかばったのである。

「バサラ………?」

シオンの顔に赤い鮮血がついた。

シオンの血ではない。

目の前に立ちすくんでいた男が倒れこむ。

「バサラ!!バサラ!!!」

「シオン様…………申し訳ありませんでした………オペルにウイングを……ウイングを人質に取られ……オペルの言う通りに動くしかなかったんです……そのために貴方のお父上も……この手にかけてしまいました………許してくれとは申しません………ですが………その事だけでも………」

「バサラ…………」

そのまま息絶えたバサラ。

シオンにはもうためらいはなかった。

「オペル……………私は貴方を…………許さない……愛する人のため……今まで弄ばれて死んでしまった人の為に……私は貴方を許すことは出来ない!!!そして……貴方の為に………私も私でなくなろう………」

その時見せた瞳のシオンはキレた状態のシオンだった。

シオンがオペルに攻撃を仕掛けた。




「オーラ!!!」




光りの柱がオペルを包みこむ………はずだった。




「ヨツムンガンド!!!」




オペルも魔法を発動させていたので、その境目で魔法がぶつかり合っていた。

シオンは必死の思いで魔法に集中する。

だが、今のシオンは前ほどの魔力がない。

それでも身体中の魔力を搾り出してオペルにぶつけていた。

しかし、オペルの魔力はそれ以上だった。

オーラがヨツムンガンドに押し返されていく。

シオンは必死で絶えていた。

だが、それは長く持たなかった。

心臓に異変を感じたシオンは胸を押さえた。

その瞬間、シオンは血を吐いてしまった。

「はぁ…………はぁ…………」

立つことも出来ずシオンは倒れこむ。

「血液中の魔力も使いこんだか………」

シオンの耳から一筋の血が流れてきている。

「ぐぅ……………」

視界がだんだん霞んでくる。

「負けられ………ない…………絶対に………!!!」

フラフラになりながらシオンは立つ。

そしてオペルを思いきり睨みつけた。

「シオン………悪いが君もここまでだ………この子瓶………見た事があるかい?」

「そ………それは……「マイラの魂」………!!!」

「そう………封印を解いて闇の力を手に入れた……俺にもう敵はいない……」

オペルはその子瓶のフタを開けた。




暗黒が………

暗黒がグランビア城を包みこむ。




「ライトニング!!」




身体中が壊れそうになっていてもシオンは最後の力で魔法を唱えた。

シオンはオペルに向かって魔法を放った。

しかし、その魔法はオペルには届かなかった。

辺りの暗黒がシオンを覆う。

シオンはオペルを睨みつける。

その時だった。

何かの意識がシオンの中に入りこんだ。

「誰だ!!お前は!!!」

頭を抱え込むシオン。

<わらわはマイラ………ヘイムと魂を共にするものよ………貴様の身体はわらわ貰う!!>

だんだんその意識が薄れていく。

「ううう…………」

シオンは必死に絶える。

「うわあああああああああああああああ!!!」

何かに助けを求めるようにシオンは叫ぶ。

<貴様の身体を奪い………再びこの世界に暗黒をもたらして見せる………お前が死ねばナーガの化身は誰一人いなくなる!!>

その言葉を聞いてシオンは思いついた。

マイラはイナルナの存在を知らない。

今、光はイナルナの元にある。

あの子が生きて………生きてさえいてくれれば光りは再び蘇る。

しかも、今のマイラは精神だけの存在。

もしシオンの身体を奪った後この身体が壊れればマイラは別の依童を捜すだろう。

そうさせないためには……………

「いいわ、この身体を貴方にあげる。そして…………マイラ……貴方はここから二度と逃れることは出来ない!!!」

<何?!>

≪悠久の聖なる光よ……………我が身を御身に捧げます………≫

「光よ…………私の身体を封じてぇ!!!」

<やめろヘイム!!やめろぉぉぉぉぉぉ!!!!>





光が途絶えた時………

シオンは一人立っていた。

「…………こしゃくな………わらわの魂をこの身体に封印するとは……!!だがお前の記憶、力はわらわの………」

その言葉が最後まで発せられることはなかった。

<あの娘………二十歳以降の記憶を封印した……!!!>

「マイラ様………どうかなさいましたか?」

「いや………なんでもない………必ず復活させて見せる……」

シオンの身体を奪い、復活したマイラは不適な笑みを浮かべた………




作者:27章完成………長かった………

マイラ:ふん!愚かな人間共め……わらわの恐ろしさを知るがいいわ!!

作者:げ!!マイラ………

マイラ:これから世界はわらわの為に回るのよ!!ヒューホホホホホホホ!!!

作者:お前は妲己か!!

マイラ:ふふふ……オードを手に入れて、世界を制すればわらわの望みが叶う!!

作者:あ~………はいはい………

マイラ:…………と言うわけで死ね作者!!

作者:ギャアアアアアアアアアアアアアアロプトウスもいたいよぉぉぉぉ……

作者は星になった。⌒★