ユグドラシル聖戦記

ナディア城の城主の娘であるユーリは今ものすごく悩んでいた。
婚約者は今、行方不明。おまけに「蛮族」と言われているローバー王国の王子・ディアマンテに求婚されるなど、ユーリの周りでは事件が次々と起こっていた。
そのおかげで、ユーリはほとほと疲れきっていた。




第3章 バルキリーの司祭  ユーリ




ユーリの婚約者であるトラキア王国の王子コウヘイとは連絡が途絶えてからもうすでに2年近く経つ。トラキア王国は12聖戦士の一人である「竜騎士ダイン」の起こした国であり、コウヘイはダインの直系である。
コウヘイは2年くらい前から伝説の武器「グングニル」と愛竜マグアナックと共に城を出てしまって未だに連絡がつかないのである。
ユーリは非常に寂しい思いをしていた。
おまけにいくら断ってもディアマンテはあきらめてはくれない。
さらに父であるルノーはグランビアへ王の世話をしに出かけて不在である。
今、コウヘイは何処で何をしているんだろう?
その思いだけが、ユーリの心を支配する。
2年間、ずっとそのことばかりユーリは考えていた。




ところが―――――




ローバー王国の王子ディアマンテの軍勢が一気にナディア城を包囲した。
ナディアは司祭の国。おまけに頼れる戦力はクオリス王子と共にアリストへ凱旋してしまって残ってる兵はみな、見習い騎士ばかりだった。
父王が不在中で今、ナディア城を守っているのはユーリだけである。
「ユーリ様、お逃げ下さい!!このままではこの城は落ちてしまいます!!」
見習い騎士の一人がユーリの元へ駆けつけ、そう言う。
「いいえ…お父様にこの城を任されている以上、この城を捨てて逃げるわけにはいきません 全員、投降しなさい」
「しかし、それではユーリ様はディアマンテに連れて行かれてしまいます!!それだけは避けなければなりません!!コウヘイ様とご結婚される日も近いではありませんか?!あきらめないで下さい、姫。我々が命に代えましても姫をお守り申します!!我々もあきらめません!ですから・・・」
「・・・有難う・・・」
見習い騎士がユーリの元を一礼して去ったあと、ユーリは城の中にある礼拝室に足を運んだ。
そこには女神像が飾られている…そして…聖杖バルキリーも納められている。
「神よ・・・崇高なるブラギ神よ・・・私達に神のご加護を・・・」




礼拝室で祈り始めてから数時間後―――




ついにディアマンテの軍勢は城の中に押し寄せ、この礼拝室にまで行く手を広げた。
「王子、いました!!ユーリ姫がいました!!」
「お前ら、俺のユーリを怪我させてないだろうなぁ?」
「そんなことしたら、王子に殺されちゃうじゃないですか・・・」
「わかってるんならよし!!」
そんな会話すらもユーリの耳には届いていない。
その時、ユーリの元に神託が降りていたのだ。




聖なる光と悪しき闇 再び交えるとき来たり ヘイムに連なりし者 再び我等が長を呼び出す時
悪しき心持つもの  炎との接触を謀る




そんな神託が途切れ途切れに降りてきたのもつかの間、ユーリは神託を授かっている途中でディアマンテに腕をつかまれてしまった。
「ディアマンテ・・・こんなことをして、一体どういうつもりですか?!」
「なぁに、このユグドラシル侵攻の第一歩がここだって言う話だぜ?ユーリ、お前には俺の妻になってもらう。もうこの城には誰一人騎士はおろか大臣すら残っていないぜ?」
「!!!」
ユーリはその言葉を疑ってしまった。
自分を守るために、多くの犠牲を出してしまったのだ。
「ああ・・・皆、ごめんなさい・・・」
そう言うとユーリは泣き崩れてしまった。
「さ、行くぞユーリ!!」
ディアマンテは強引にユーリの腕を引っ張る。
「離して!!私は貴方の妻になるつもりなどありません!!!」
「なに言ってる、現にお前のフィアンセは行方不明になってるじゃねえか?」
「コウヘイは必ず帰ってくるわ!!私のところに・・・!!」
涙を流しながら、ユーリは今、何処にいるかもわからない恋人のことを思う。
「どうしても来ないって言うなら……無理やりにでも連れて行く!!」
ディアマンテは握りこぶしをユーリのみぞおちに叩きつけた。
ユーリの意識は一瞬にしてなくなってしまい、うなだれてしまった。
「おい!!野郎ども、俺は城に戻るがこの城の守備、しっかりやっとけよ!!」
その時すでに、シオンは一人でナディアの城を目指して馬を走らせていたのだった。
運命の歯車はなおも回りつづける―――――




作者:エピソード編はここで終わりです。
シオン:次はどうなるの?
作者:次はまたシオン編に戻ります。しかも、一人でこの軍隊を落とすことになります。
シオン:・・・一人で?
作者:そう、一人で(きっぱり)
シオン:・・・どうしてそういう無謀なことを思いつくの・・・?
作者:頑張ってください。大丈夫。ナーガがあるんだから死にはしないし、死んじゃったらそこでお話し終わっちゃうし シオン:そんな簡単に・・・まったくこの作者は・・・
作者:これが創造主の決定権なのだぁ~♪




キャラクター紹介


ユーリ
年齢:16歳
職業:プリースト
ナディア城の城主であり、大司祭ブラギの子孫。
聖杖バルキリーの後継者である。シオンに絶対の忠誠を誓っている。
シオンが一番信頼するほど、しっかりした性格である。