ユグドラシル聖戦記

グランビア軍に身を置いているユラ。

だが、それには事情があった。

ユラは元々帝国のしていることが気に入らなかったし、これから戦う相手が自分の従姉妹であることも知っていた。

それでも、彼女にはイナルナ達と敵対しなくてはならない理由があった。

それは………




第35章 遥か彼方の記憶




キラはセンティアにキイナ達と共に帰ってきていた。

センティアに着く頃には、精神も落ちつき、取り乱すことはなかった。

けれど、たった一つだけ、哀しい出来事があった。

何年待っても、オスカーはキラを迎えにはこなかったのである。

「キラ……まだそこにいたの?風邪ひいちゃうよ?」

「ヨウスケ……私、もう少しここにいたいの」

「キラ…いくら待ってもオスカー様は…」

ヨウスケの言葉がキラの心に刺さる。

「そんなの……わかってるよ………オスカー様はもう……」

「キラ………なら……」

「でもね、待っていたいの。絶対、いつか迎えに来てくれる……だって、昔からオスカー様が私のこといつも迎えに来てくれたんだもん……お父様とケンカして、城から家出した時だって、迎えに来てくれたのはお父様じゃなくて、オスカー様だったんだもん……だから……」

「キラ……僕がグランビアに行って確かめてくるよ」

ヨウスケのその言葉を聞いて、キラはハッとする。

「ヨウスケ」

「大丈夫。僕だって、聖戦士の血を引いた魔法騎士。そう簡単に殺されやしないよ。絶対に見つけて連れ戻す。それが僕にできる精一杯の……」




そう言って、センティアを出たヨウスケも、5年間待っても帰ってこなかった。

キラの心に罪悪感が日に日に生まれていった。

だがキイナは、キラに優しくし、キラをいたわった。

キラとオスカーの子供として生まれてきたユラは、幼馴染みとその妻のことを思い、毎日涙を零す母の姿を毎日見ていた。

それから半年後、キラはユラを連れてセンティア王国を出ていったのである。

キラとユラはトラキアとレンスターの間、マンスター地方にその身を置き、孤児院で子供たちの世話をして生きていた。

それなりに幸せな日々が続いていた……




3年後、ある日突然、帝国軍がキラとユラのいる孤児院を襲ったのである。

ここ数年、帝国が子供狩りをしているという情報を、キラはトラキアに行ったときに知ったのだった。

目の前で、兵士達に連れていかれ、泣き叫ぶ子供たちを助けようと、キラは弓を持った。

だが、その裏で、キラはユラにイチイバルを持たせ、数人の子供たちと共に弧児院からユーリのいるトラキアに逃がしていた。

だが、ユラは自分だけが逃げるという事に耐えきれず、トラキア兵の手を振り払い、孤児院に戻った。

だが、キラはすでに帝国軍に殺されていた。

ユラはすぐさま隠れ、帝国軍の話を聞いていた。

「まったく、てこずらせてくれたな。」

「当たり前だろ?相手は弓騎士ウルの直系であるアベニールのお姫様だぜ。簡単に死なれちゃ面白くねえじゃん」

「それもそうだがな、この弓がホントに12神器の一つ、「イチイバル」なのか?なんか普通の銀の弓にしか見えないぜ?」

「まぁ、いいんじゃねえのか?とりあえず、マイラ様が煙たがってたシオン王女率いるナディア軍の残党を殺ることができたんだし」

「よく言うぜ、お前昔そのシオン王女に仕えていたくせに……」

「世の中、強い者に従っていた方が長生きするんだよ」

「ま。それもそうだよな」

そう言いながら笑う帝国兵を見て、ユラの心に怒りが込み上げる。

当時のユラは、シオンが叔母だということは知らなかった。

だが、何故か無性に腹が立ったのである。

ユラは無意識の内にイチイバルを構え、その兵士めがけて矢を射ったのである。

「キサマっ……何を………!!」

兵がユラに気付いたが、それから数秒も経たずに、彼の命は尽きた。

ユラにとって、初めて人を殺めた瞬間だった。




それからトラキアにある修道院で孤児たちを守りながら、ユラは修道院を支えてきた。

だが、トラキアの地は元々作物などが育たない高山地。修道院の収入はないに等しい。

ユラはいろんなところで仕事をもらい、その報酬で修道院の収入をカバーしていた。

それでも、孤児たちが増える一方で普通に仕事をしていては食べ物も買えないくらい苦しい状況になる。

ユラは一大決心し、帝国に雇われることを決心した。




そして、今に至るのである………




「イナルナ王女、貴方をこの手で殺し……子供たちを助けるんだ……!!」




作者:いやぁ~、長かったね~。

イナルナ:半年くらい止まってましたよね。

オグマ:まったく…やる気のなさ見え見えだな。

テンルウ:ホント、先が思いやられるな。

ユラ:あぁ……久しぶりのお話が私中心……☆

ユウキ:誰か一人慶んでるのがいるぞ…?

ショウ:まったく………

作者:まぁ……気長に行きましょうねぇ……(ぉ)