異法人の夜-Foreigners night-

-Border Breaks-
断章「暗い世界」
 いやに静かだった。
 元々静かな場所ではあった。
 誰もが皆、無駄な音を立てないようにしていた。
 だから、静かだった。
 しかし、この静けさは違う。
 静かにしようという意思が感じられない。
 静かだから静かなのだという、それだけの無音だった。
 壁や床がべたべたする。
 あちこちによく分からないものが散らばっていた。
 今度は何をするのだろう。
 これを使って、どうしようというのか。
 興味はない。
 ただ、気持ち悪かった。
 そこに二人の男がやって来た。
 見覚えがある二人だ。しかし、名前は知らない。
 二人組は遥の前までやって来ると、そこで軽く何か話しているようだった。
 内容は聞こえているが、興味はなかった。だから、特に記憶に刻みつけようとは思わなかった。
 そんなことよりも。
 この、あちこちにある気持ち悪いものをどうにかして欲しい。
 何か、先程からべたべたと。べた、べた、べた、と。
 気持ち悪い。
「外には――――が」
「では、隠し通――――」
 この赤だか黒だかを、どうにかしてほしかった。