登場人物
赤根甲子郎 (あかね こうしろう) 【人名】
異法隊隊員。
爪使い。
不良。

異法は「双魔爪」。

元々はストリートチルドレン。異法人としての能力故に、周囲からは頼られ、また恐れられていた。
異法隊には『町中で暴れていたところを強制的に保護される』という形で入隊。
主な任務は偵察。不思議と勘がいいため、捜索系の任務では真っ先に標的を見つけることが多かった。
戦闘力も低くはないのだが、協調性がないため単独行動中心の偵察任務に回されていた。

最初に梢が倒す異法隊員、という発想から生まれたキャラクター。
要するに当初は噛ませ犬で終わる予定だった。
しかしせっかく作ったキャラをそれだけで退場させるのは惜しいと思い、終盤で少し活躍の場を得ることに。
この点は第一部もborder breaksも変わらない。

border breaksでは「ケッ」という口癖がついた。
素直になれないお人好し。態度は悪いが仲間思い。礼儀知らずだが筋は通す。あと何気に苦労人。
将来何事もなく異法隊日本支部が復活したら、なんだかんだで良い兄貴分になっていそうである。

名前の元ネタは赤根武人と伊東甲子太郎。


秋河 (あきかわ) 【人名】
式泉家に仕えていた夫婦。
泉家が崩壊する際、遥を連れて落ち延びる。
しかし彼女が機関に囚われていたことを考えると、途中で何者かに殺害されたようである。


大御所様 (おおごしょさま) 【俗称】
ザッハークとの最終決戦において、包囲網に参加していた老人。
その物々しい呼び名から、かなりの実力者であることが窺える。
どのような組織に属する者なのかは不明。


柿澤源次郎 (かきざわ げんじろう) 【人名】
異法隊日本支部の代表者。
異法人にして魔術師。
悪人と言うより罪人。
物語における、黒幕。
零次の父、久坂源蔵の成れの果て。

異法は「不可視の引き手(インビシブル・プレッシャー)」。

支部の代表者だから本来の肩書きは部長。
しかしなぜか自他共に「隊長」と称している。
落ち着いた物腰と理性的な雰囲気の持ち主だが、実際のところ彼を突き動かしているのは感情に他ならない。

異法隊に入隊して間もなく、ザッハークと出会い、死闘を繰り広げた。
そこで実力を認められ、異法隊日本支部の責任者となる。
その頃、泉家の崩壊と同家の技術に目をつけ、それを利用して何か出来ないものかと考え始める。
同時期、ザッハークと契約を結んでいる。
間もなく遥の所在を見つけるのだが、その頃の彼女はまだ幼く、あまり利用価値がないと思ってそのままにしておいた(一応ザッハークに監視させていたが)。
その後八島優香の存在を知り拉致。彼女の実験を通じて"儀式"のことを思い立ち、それに遥を利用しようと考えるようになった。
ただ、泉家の力を利用するつもりなら、彼はもっと早くに遥の身柄を確保しておくべきだった。
それをしなかったのは、側に置くことで彼女に情が移るのを恐れていたから。

考えれば考えるほど泥沼に落ちるタイプ。
自らの行いを『悪』と自覚しており、"儀式"を完遂させて死ぬ以外、自分に許された道はないと考えていた。

彼の最大の不幸は、理想を高く持ちすぎたこと。
自分の足元に残っていた小さな幸せに気づいていれば、違う道もあったのかもしれない。


霧島直人 (きりしま なおと) 【人名】
異法隊隊員。
悲しき復讐者。
いき過ぎた男。
兄貴。

異法は「モルト・ヴィヴァーチェ」。

飄々とした性格で、面倒見の良い男。
異法隊日本支部では零次や矢崎兄弟と共に戦闘班を組む。
隊員たちの中では年長者。そのためまとめ役兼ムードメーカーとして彼らを支えていた。
異法隊には自らの意思で入隊。ほとんど隊員間の交流がなかった日本支部の雰囲気は、彼が加わったことで大分改善されたという。
不真面目な言動を取ることが多いが、時折鋭い意見を発することも。
刃や柿澤は彼の本質を多少理解していたらしく、只者ではないと評していた。

かつては榊原の一番弟子で、梢たちの兄貴分でもあった。
七年前、ザッハークらに恋人である八島優香を奪われ、以後ずっと彼らと戦い続けてきた。
優香の最期を看取る際「妹たちを守って」と頼まれ、その約束を果たすために遥の行方を捜し続けていた。

長期に渡る過酷な戦いのため、その身体はボロボロの状態。
身体の大半を代替物に置き換えることで無理矢理延命し続けており、本編開始時には既にそれすらもが限界に近かった。
そんな中、ついに遥を発見。梢の正体を知っていた彼は遥の所在を早々に知り、時折様子を見ては彼女を狙う不審な影がないかと探っていた。
同時期、涼子の護衛を任される。彼女の過去を探す手伝いをするが、危険に巻き込ませまいと肝心な情報は与えなかった。

border breaksの裏主人公とも言えるキャラクター。
第一部では復讐者としての面が強かったが、今回は「守れなかった最愛の人との約束を果たすため」に戦う男に。
メインキャラのほとんどと絡みがあり、事件の真相に近い場所にいるため後半になると出番が急増。
最終決戦における彼の行動は、梢たちの勝利に大きく貢献した。

最期に見た笑顔は、彼にとってなによりの救いとなったのではないだろうか。


久坂郁奈 (くさか いくな) 【人名】
零次の妹。
故人。

割と大人びた子で、迫害される兄・零次をよく慰めていた。
自らも兄への攻撃の余波で少なくない被害を受けているが、彼を恨むような言動は一切なかった。
迫害され続けた久坂家の精神的支えとなった少女。
最後は雪山で、静かに息を引き取った。


久坂源蔵 (くさか げんぞう) 【人名】
零次の父親。
柿澤源次郎の本名。

若い頃は息子同様、悩み多き青年だった。
当時から異能の者と一般人の確執を多く目にしてきており、彼自身問題の渦中に身を投じたことも何度かある。
争いを好まない性格で、平和的な手段で自分たちの存在を人々に認めてもらえる方法がないか模索し、その中で出会った女性と結婚した。
彼女との間には二人の子供が生まれた。この頃が、彼の生涯でもっとも幸せな時期だっただろう。

零次が自らと同じ異法人であることに気づき、その将来を憂いた彼は家族の元を離れた。
異法人が安らかに、そして正しく生活出来る場所を探す、もしくは作ろうとしたのである。
別れ際、彼は妻にその決心を告げ「必ず迎えに来る」と言い残して旅立った。
皮肉にも彼がいなくなった直後から零次の能力が本格的に目覚め始め、残された家族は迫害を受けるようになっていく。
家族と連絡がつかなくなった彼は、家族が待っているはずの場所へ向かう。
しかしそこにあったのは、無残なまでに荒れ果てた無人の我が家だった。

それ以降、彼は久坂源蔵であることを止めた。
その後の彼については、柿澤源次郎の項で。


久坂守子 (くさか もりこ) 【人名】
零次の母。
本編執筆中、名前はなかった。この用語集を作る際、彼女の項目を作ろうと思ったのだが、久坂家で一人だけ名無しなのは気の毒と思い、慌てて名前をつけた。……気の毒という点ではあまり変わらないかもしれない。

夫が留守にしている間、家族を守ろうと決心し、その為に辛い日々を歩むことになった女性。
第一部とborder breaksでは大分印象が違って見えるが、実際彼女の性格などはさほど変わっていない。
第一部の彼女は最期の最後で本音の一端が出てしまっただけである。どちらの物語でも、零次を最後まで捨てたりはしなかった。
本来は異法人を始めとする異能の存在の良き理解者だった。夫が異法人であることを知りながら、彼女は躊躇うことなく結婚に踏み切っている。
次第にエスカレートする迫害によって心身ともに追い詰められ、最後は雪山で息を引き取った。


久坂零次 (くさか れいじ) 【人名】
border breaksにおけるキーパーソン。
異法人。
異形の悪魔。
心弱き戦士。

異法は「影なる天使(セラフィック・シャドウ)」。

かつて異法隊日本支部に入隊するも、問題を起こして海外の支部に移動。
その後各地で確実な成果を挙げ、本編開始の少し前に日本へと戻ってきた。
戦闘経験が非常に豊富。異法隊全体の中でも上位に位置する力の持ち主で、エースと称されている。
普段は冷静沈着に物事を判断し様々な状況に対応してのけるが、一旦心が乱れると立ち直るのに時間を要する。

幼少時、自分の力のせいで迫害を受け、そのことが原因で母と妹を死なせてしまった。
傷ついた彼は異法隊に入隊。その後涼子と出会い初めての友達を得ることで多少救われる。
しかし力の暴走によって彼女を傷つけてしまい、それ以来他人との接触を極力避けるようになった。
そうした過去の影響か、自分の異法、特に翼の部分を忌み嫌っている。
また、そうした力を悪事に利用する者を嫌悪する傾向が非常に強い。

大きなトラウマを二つ抱えているせいか、考えれば考えるほど絶望するネガティブ男。
他人との接触を恐れている面があり、そのせいか自分一人であれこれと決めてしまいがち。
希望を失うことの悲しみをよく知っているため、臆病になってしまった。
それでも涼子という希望を諦めきれず、最後は彼女のために忌み嫌う力で戦うことを決意する。

他人との接触を最小限に抑えてきたため、対人関係を築くのが下手。
本人は真摯に接しているつもりだが、相手を怒らせてしまうことが多い。

傷つくことを恐れ、自ら境界の内側に閉じこもってしまった少年。
それを打ち破り、彼は自らの道を歩み始めた。
その先に何が待っているのかは、また別の物語で。
零次


倉凪沙羅 (くらなぎ さら) 【人名】
梢、美緒の母親。
彼らが幼い頃、夫の後を追うような形で病没する。
梢は父に憧れ、美緒は両親のことをほとんど覚えていない。そのため今一つ影が薄い。

倉凪というのは元々彼女の姓であり、梢たちがたらい回しにされたのは彼女の親戚筋。
司郎と駆け落ち同然の結婚をしていたので、親族とは絶縁状態にあった。
梢たちが冷遇されたのは、そういった事情も関係している。


倉凪梢 (くらなぎ しょう) 【人名】
border breaksにおけるヒーロー。
異法人。 
草の使い手。

異法は「草の創生(グラス・クリエイション)」。

単純馬鹿な高校三年生。朝月学園在学。
クラスは3−Aで、吉崎、藤田、斎藤らと共に四天王と呼ばれている。
また、生徒会の副会長も勤めており、教師や生徒の人望は割と厚い。

両親の死後、親戚筋をたらい回しにされた過去を持つ。
その間、異常な力を持っていることなどが原因で虐待を受け続けていた。
当時の傷跡は今でも残っており、その痛々しさは見る者を絶句させる。
彼自身は、虐待の手から妹を守れたことに満足しており、その傷を名誉としている節がある。

誰かのために戦うことを本懐とするお節介焼き。
己の力を他人のために役立てることに自分の価値を見出している。
吉崎と組んで深夜に悪党退治などをしていたらしい。それには時折榊原も関わっており、非公式ではあるが、何人もの凶悪犯を捕らえた実績を持つ。

榊原に引き取られてから家事全般を取り仕切るようになる。
料理はかなりの腕前で、昔は涼子に色々と教えていた。

榊原が師範を務める武術『天我不敗流』の二番弟子。
梢の戦い方の基礎は、この武術による影響が大きい。

第一部よりも出番は減ったが、border breaksでも美味しいところはきっちりと持っていく。
今後彼がどうなっていくのかは、また別の物語で。
梢


倉凪司郎 (くらなぎ しろう) 【人名】
梢、美緒の父親。
秋風署に勤めていた刑事。
榊原とコンビを組んでいた。
梢たちが幼い頃に殉職した。

border breaksでは出番なし。
梢に強い影響を与えた人物。
また、榊原にも少なくない影響を与えている。
倉凪は妻の姓であり、結婚前に彼がどのような名を名乗っていたかは不明。
というより、生い立ちを始めとする正確なプロフィールの大半は不明である。


倉凪美緒 (くらなぎ みお) 【人名】
梢の妹。
兄とは違い、正真正銘普通の人間。
昔は人見知りをする引っ込み思案な性格だったが、今は騒がしいトラブルメーカー。
楽しいことが大好きで、よく色々な企画を思いついては周囲の人々を巻き込む困った子。
ただし本質的なところは昔と変わっておらず、無茶をする兄たちのことを影で心配している。

物心ついた頃、既に両親はおらず、兄と共に親戚筋をたらい回しにされる日々を過ごした。
梢が庇い続けたことで彼女自身は虐待されなかったが、そのことで梢に対する引け目を感じ続けている。

学校では涼子と仲が良く、互いに親友と呼び合っている。
周囲からの人気は高く、他にも大勢の友人がいる。ただ、その扱いはアイドルというよりマスコット。
男女問わず幅広い交流関係を持っているが、告白されたことは一度もない。

涼子ぐらいしか気づいていないが、吉崎和弥のことが好き。
恋愛に関しては奥手で、結局その想いを彼に伝えることは出来なかった。


斎藤恭一 (さいとう きょういち) 【人名】
梢のクラスメートで親友。
学年でも一、二位を争う秀才だが、よく梢たちと一緒に馬鹿なことをやっているため四馬鹿の一員扱い。
また、朝月高校生徒会の書記を務めている。

日常側のキャラクターなのであまり出番はない。
吉崎の死がきっかけで今回の事件に関わることになり、藤田と共に連絡員として梢に協力した。 
出番や活躍はほとんどなかったが、梢の正体を知りながらも受け入れたという点では、彼もまた境界を突破した一人と言える。


榊原幻 (さかきばら げん) 【人名】
梢、美緒の育ての親。
秋風署刑事課強行犯係の警部補。
天我不敗流という武術の師範で、弟子は霧島、梢、吉崎。

かつて榊原は、梢たちの父親である司郎をコンビを組んでいた。
司郎の死後数年が経った頃、ある通報によって梢たちが虐待を受けていること知った彼は、兄妹二人を即座に引き取る。
以後、厳しくも温かく二人の成長を見守り続けてきた。

冷たく取っつきにくい印象を人に与えるが、実際は人情溢れる男。
仕事柄子供たちと接する時間が少ないことを密かに気にしている。
自信に満ち溢れた言動が「生意気」「無礼」と取られることが多く、人付き合いには難がある。
が、実際その言動に見合うだけの実力を持っているため、周囲からは「苦手だが頼れる男」と思われているとか。

異法人、魔術などといった非日常のことにも精通しており、遥と吉崎には二つの魔銃を授けている。
本編中はあまり目立たなかったが、遥を養女として迎え入れるために活動したり、山小屋を発見したりと裏でいろいろ動いている人。
普通の人間であるにも関わらず、最終決戦時はザッハークの魔獣を苦もなく討ち払っていた。

煙草好きだが、子供たちがいる前では極力吸わないようにしている、という設定があるとかないとか。

この人が梢たちを受け入れたことが、border breaksの最初の希望と言えるかもしれない。


サチ (さち) 【俗称】
本名不明。名前は幸なのか幸子なのか、もしくはそれ以外なのか。
第一話で梢が通り魔から助け出した少女。涼子の友人でもある。

彼女から話を聞いていたため、涼子は梢の正体に感づいた。
そういう意味では割と重要なキャラクター、だったのかもしれない。


ザッハーク (ざっはーく) 【俗称】
異端の蛇。
無限の大蛇。
蛇王にして邪王。
多くの者に怨まれる、世界の敵。

異法は「悪夢の千年竜(アジ・ダハーカ)」。

正体不明、思考解読不可能、理解難易度最悪の怪物。
今の世界の常識を忌み嫌う彼は、普通の感覚では推し量れない精神の持ち主である。

柿澤と契約を交わし、協力者として暗躍する。
その過程で八島一家を皆殺しにしたり、優香奪取に加担したり、涼子の殺害を謀ったりしていた。
また、梢の胸の傷はコイツの仕業である。
本人曰く、策謀は不得手。そのくせ勝手に動くので、柿澤も色々と苦労をしていたようである。

身体能力、保有魔力、実戦経験、どれを取っても並の使い手たちの追従を許さない。
本編中彼とまともに渡り合えるのは霧島と柿澤ぐらいで、零次がかろうじて善戦出来る程度。
能力によって蓄えられる異常な量の魔力が目立つが、四肢を半分失った状態で梢と零次の二人を相手にしている辺り、格闘能力も尋常なレベルではなさそうである(即席の義腕義足を魔力で作っていたが、梢相手には役に立っていない)。
尋常ならざる者を特に好み、作中では吉崎の行動と零次の決意、霧島の意志を称賛している。
最後は梢たちの手で倒され、異法隊本部に身柄を預けられた。それ以降の生死は不明。

コンセプトはラスボスに相応しい悪。
そして、border breaksにおいて唯一打ち破れなかった壁を持つ男。
彼がああなった経緯などは勿論存在するのだが、意図的にそれらはほとんど描かれていない。
事情を抱えた悪役は既に柿澤がいるので、彼にはラスボスとして『分かり合えない敵役』に徹してもらった。
誰もが分かり合えるわけではありません、という話。


式泉運命 (しきずみ さだめ) 【人名】
式泉家最後の当主。
優香、遥、涼子の父親。
泉家の崩壊騒動以降、生死不明。
優香や遥の力は、この人によって作り出されたものらしい。


通り魔 (とおりま) 【俗称】
春先に秋風市を騒がせた通り魔。
夜道でサチに襲い掛かろうとしたところ、梢に倒されお縄となった。


(はるか) 【人名】
border breaksにおけるヒロイン。
本名、式泉遥。
優香の妹で、涼子の姉。

子供らしい無邪気な性格をした少女。少々天然ボケ。
研究機関に軟禁されていたところを梢に助けられた。
その後、彼の勧めもあって榊原家に居候をすることになる。

リンク・トゥ・ハートと呼ばれる魔術を使う。
そのため機関の人間には「リンク」あるいは「リンク・ハート」などと呼ばれていた。

物心ついた頃には既に軟禁されており、人間ではなく単なる道具として扱われていた。
人とのコミュニケーションをほとんど取っていなかったため、昔は痛みや苦しみの意味さえ理解出来ず、ほとんど人形のような状態だった。
ある少年と偶然出会うことで、彼女はようやく感情を持つに至る。
彼女が実年齢よりも子供っぽいのは、そうした特異な環境で育てられたことに関係している。

その境遇や経歴は不幸としか言いようがない。
現状を打破する力もなく、助けを差し伸べる相手すら周囲にはいなかったのだから、救いようがない。
異能の者と人間との憎しみ合いによる被害者代表とも言うべき少女。
梢と出会うことがなければ、彼女は道具としてその一生を終えていたかもしれない。

あまりそうは見えないが、芯の部分は強い。
自ら囮を申し出たり、美緒を助けるために迷わず身を差し出したりしている。
儀式発動時は自らの意志で「人」として生きることを選び取り、溢れ出しつつあった集合無意識を封じ込めた。
最終決戦では皆の魔力を梢たちに送り届け、涼子と共にヴィリで三頭の大蛇のうち一頭を倒した。

本編終了後、榊原家の養女となり、正式に家族として迎え入れられる。
ようやく最初の一歩を踏み出した彼女がどんな道を行くのかは、また別の物語で。
遥


藤田四郎 (ふじた しろう) 【人名】
梢のクラスメートで親友。 
野球好きの熱血馬鹿。梢、吉崎、斎藤らと共にクラスの四馬鹿、あるいは四天王などと呼ばれている。
少し成績が悪いこと、運動神経が良いことを除けば極普通の高校生。

日常側のキャラクターなのであまり出番はない。
吉崎の死がきっかけで今回の事件に関わることになり、斎藤と共に連絡員として梢に協力した。 
出番や活躍はほとんどなかったが、梢の正体を知りながらも受け入れたという点では、彼もまた境界を突破した一人と言える。


藤村亮介 (ふじむら りょうすけ) 【人名】
異法隊隊員。
唯一異法人ではない隊員。
柿澤源次郎の補佐役。

能力は「思い出の映像劇(メモリアル・ムービー)」。

人当たりのいい青年で、隊内では一番の人格者。
気配りが出来て話題も豊富、真面目で誠実な爽やか青年である。
戦闘能力が低いため、あまり危険な任務に就くことはない。

研究機関によって人工的に生み出された存在。試験体0065号。
精子と卵子の提供者はいるが、親といえるような存在ではない。
当時最高の技術で作られた、人型魔術道具。
その技術には、泉家のものが多少交じっている。

遥と似た境遇で育ち、死にかけていたところを柿澤に助けられ、初めて「生きる」ことを知った。
以降彼に忠誠を尽くすようになるが、柿澤の計画を聞かされてからは深い葛藤に苛まれていた。
ちなみに彼が計画のことを聞かされたのは、涼子が柿澤に議論を申し込む少し前。
それまで彼は他の隊員同様、何も知らされてはいなかった。

余談。
リメイクするにあたり、登場人物が男ばかりである点に気づき、一時期彼を女性にしようかと本気で悩んだ時期があった。
もし実現していたら男装の麗人になる予定だった。表向きは藤村亮介、しかし本当の名は藤村亮子。
柿澤を敬愛し、彼のためなら全てを投げ打つ覚悟を持つ少女。
……実にベタベタである。しかも「りょうこ」という名前が被る。
それにそこまで設定を変えるとさすがにリメイクの範疇を越えてしまうという思いもあり、結局は没になった。
border breaksにおける最大の没ネタである。

リメイクによって生死が変わったキャラクター。
日本支部が活動を再開したら、彼は……やはり補佐役に落ち着いていそうな気がする。
ただ、一回りも二回りも成長しているだろうけれど。


冬塚水穂 (ふゆつか みずほ) 【人名】
涼子の養母。
かつて涼子の実家である式泉家に仕え、同家が崩壊した際に涼子を連れて落ち延びた。
市井に身を潜ませてからは、母親として涼子のことを温かく見守り続けていた。
八島家と密かに連絡を取り、行方不明となった遥を助けようとしていたようである。

式泉家に代々仕えていた家の生まれ。
魔術の心得があるが、腕前は並。あまり戦闘向きの力は持っていなかったようだ。

涼子や優香を守ろうとザッハークらに抵抗するも、柿澤源次郎によって圧死させられた。


冬塚雪夫 (ふゆつか ゆきお) 【人名】
涼子の養父。
式泉家が崩壊した際、水穂と共に涼子を連れて落ち延びる。
その後は父として涼子のことを見守り続けていた。

妻である水穂とは違い、元々は魔術と何の関わりもない一般人だった。
幸町曰く、「魔術師ではなく純粋な研究者だった」。
自分の命が長くないことを悟っていたらしく、自らの研究室に娘への手紙を残した。

涼子や優香を守ろうとザッハークらに抵抗するも、柿澤源次郎によって圧死させられた。


冬塚涼子 (ふゆつか りょうこ) 【人名】
border breaksにおけるメイン・キャラクター。主人公とも。
本名、式泉涼子。
優香、遥の妹。

人当たりの良い性格の少女。親しい相手には悪魔っ子の面を見せることもある。
根は真面目だが融通が利き、頼りがいがあるうえに成績は学年首席。一言で表すと優等生。
梢に鍛えられた影響で料理の腕前も良い。和洋中どれでもいけるが、一番得意なのは中華。
幅広い交流関係を持っている。美緒とは特に長い付き合いで、お互い親友と呼び合っている。
運動神経があまり良くないのが欠点。

家族を七年前に失っており、その前後の記憶がない。
普段意識の片隅に追いやられていたその違和感は、零次との再会によって大きく揺れ動く。
その後、研究機関に狙われたところを異法隊に助けられ、以降非日常の世界へと身を投じることになった。
border breaksでは、彼女の失われた記憶が物語における重要な軸になっている。

超人たちが飛び交う物語のど真ん中を駆け抜ける一般人。
一応魔術師の家に生まれているが、それらしい力は持っていないように見える。
彼女が一般人だからこそ、border breaksの物語は成立しているとも言える(生粋の一般人ではないけれど)。
過去と今、梢たちと異法隊、自身と零次などの間にある境界線を打ち破った。

第一部ではヒロイン役で重要な位置にいるキャラクターの予定だったのだが、ろくに出番もなく本編終了。
その後日常編を執筆していくうちにキャラクターが掴めて来たためborder breaksで再挑戦。
何度か書き直すうちに「ヒロインじゃなくて主人公らしく書いてみよう」としたところ、これが個人的に大ヒット。
中盤から後半にかけては、第一部で主人公だった梢や零次を押しのけて話の中心に居座る程に。
さすがに戦闘ではほとんど活躍していないが、一応最終決戦では遥と共に三頭の大蛇のうち一頭を倒している。

border breaksは彼女の物語と言っても過言ではない。

今後彼女がどのようなことになるのかは、また別の物語で。
涼子


牧島裕一 (まきしま ゆういち) 【人名】
研究機関のメンバーで、所属施設では主任を務めていた。
奇形(フリーク)という能力を持ち、機関壊滅後はそれを自らの名前とした。

非常に不安定かつ歪な心の持ち主。
マッドサイエンティストとしての一面、苦悩する青年としての一面など、様々な面を持つ。
ザッハークと共に強化人間を引き連れて榊原家を襲撃、遥の奪取に成功。
歪んだ性質をザッハークに見込まれ、機関壊滅の際も彼だけは見逃された。
その後「世界を変える」という柿澤の思想に興味を持ち、彼らに協力を申し出る。

あれも駄目これも駄目という、ある意味ザッハークに似た心の持ち主。
おそらく、そういったところが気に入られたのだろう。

父親によって半ば無理矢理新型能力の被験体にされた。
そのことで機関及び異能の存在に憎悪を抱くようになり、そこから徐々に心が歪んでいく。
似たような境遇にあった遥に対し、親近感を抱いていた。
また、藤村亮介に対しても、自分と似たものを感じ取っていたようである。

何がしたいのか自分でも分かっておらず、その解答を求めるために柿澤らに協力した。
最後は刃の手によって討ち滅ぼされる。臨終の際、ある問いかけを残した。

対立という構図において、争う両者の間で苦しむ第三者を表したキャラクター。
第一部には存在せず、border breaksで新たに追加されたキャラクターでもある。
当初はあまり深く考えず作り出したが、話数を進めていくうちに方向性が決定。
最終的にはこのような形に落ち着いた。

争う者の間で苦しむ第三者、というテーマはいつかまた書いてみたいと思います。


牧島幸光 (まきしま ゆきみつ) 【人名】
牧島裕一の父親。
昔、尋常ならざる何者かに妻を惨殺され、自身も危うく殺されそうになったことがある。

一命を取り留めた彼は復讐の念を燃やし研究機関に入り、そこで奇形(フリーク)の開発に着手。
その復讐の念は凄まじく、奇形(フリーク)の能力開発のために息子を実験台にしてしまう程。
最後はザッハークによってトラップの起動スイッチにされ、死亡した。

あまり目立たないが、異能の者に被害を受けた一般人の代表。
その復讐心は狂気の域に達し、息子の心を大きく歪ませるに至る。

対立という構図における被害者の怒りを象徴したキャラクター。
もう少し出番を与えるべきだったと反省。


増田 (ました) 【人名】
零次のクラスメート。
吹奏楽部の部長。

初出は日常編特別版だが、border breaksでも端役として登場した。


矢崎刃 (やざき じん) 【人名】
異法隊隊員。
沈黙の巨人。
亨の兄。

異法は「衝撃地帯(インパルス・フィールド)」。

異法隊日本支部屈指のパワーファイター。
軽く二メートルを越す身長の持ち主。
不必要なことはあまり話さない。それが厳しい顔つきと相まって、相手に妙な威圧感を抱かせる。
義理堅い性分で、遥の奪還にもあまり乗り気ではなかったが、柿澤への恩義を果たすために梢と拳を交えた。

その力故に親に捨てられた過去を持つ。
以後、親を捜して亨を守りながら放浪。
旅の中で柿澤源次郎と出会い、彼に拾われる形で異法隊へ入隊。
彼曰く「必要だから入隊した」のであって、あまり乗り気ではなかったらしい。

普通の人と自分たちのような異能の者が共に暮らせる光景を理想としてきた。
そのため梢たちのことを知り、彼やその周囲の人々に興味を抱くようになる。

リメイクして扱いが良くなったキャラクターの一人。
第一部では割とあっさり異邦隊を裏切り、その直後、ザッハークによって意識不明の重態にさせられてしまう。
おかげで第一部限定キャラクターなのに、ほとんど見せ場もないまま終了。
さすがにそれはまずいと反省。border breaksでは義理堅さを前面に出し、最後まで出番を持たせ続けてみた。
三大ボスの一角フリークを倒し、最終決戦でも最後の大蛇を一頭倒している。
結果、涼子と同様、作者自身も驚くほど優遇されたキャラクターになっていた。


矢崎亨 (やざき とおる) 【人名】
異法隊隊員。
金属使い。
ツッコミ役。
刃の弟。

異法は「五金万象(ハンディ・メタル)」。

丁寧な言葉遣いが特徴的な少年。
柔軟な思考力の持ち主で、戦闘班の中では作戦担当。
戦闘能力は平均を少し上回る程度。頭脳戦を得意とする。
異法隊では、兄とコンビを組んで任務に当たることが多かった。

美緒のクラスメートでもあり、彼女にはよく弄られている。愛称はヤザキン。
また、年が近く同じ学校に通っていることから、零次とは比較的親しい仲。
異法隊の在り方については、特に反論するつもりはないけれど、少し窮屈に感じていた。
なかなか兄に一人前として認めてもらえないことが不満。

臨機応変に対応する機転の良さを持ち合わせているが、真正面からの勝負には弱い(赤根談)。
他には詰めが甘い点を指摘されており、刃もその辺りのことを心配しているようである。

刃に守られながら育ってきた影響で少々頼りないところがあるが、いざというときは兄同様の闘志を見せる。
border breaksでは第一部よりも出番が減ったが、要所要所ではしっかりと活躍した。


八島 (やじま) 【人名】
式泉家に仕えていた夫婦。 
泉家が崩壊する際、優香を連れて落ち延びる。
その後、市井に身を潜めながら優香を守り続けていた。
冬塚夫妻と密かに連絡を取り、行方不明となった遥を助けようとしていたようである。

一九九六年十月六日、ザッハークによって殺害された。


八島優香 (やじま ゆうか) 【人名】
本名、式泉優香。
霧島直人にとって最愛の人。
遥、涼子の姉。

魔術師の家に生まれるが、本格的に魔術を学び始める前に家が崩壊してしまう。
そのため一般的な魔術の心得はない。
たった一つ、「夢の中で誰かの過去を体験する」という魔術が使える。
その魔術は任意で発動出来るタイプではなく、眠ることで勝手に発動してしまうタイプ。
この力によって優香は遥の境遇を知り、その過酷さに心身ともに苦しめられたという。

遥と涼子を足して二で割ったような性格。
外見は遥と瓜二つだが、雰囲気などは涼子とも近い。
大人らしさの中に子供っぽさを秘めた女性で、霧島とは互いにからかい合ったり照れ合ったりするような、要するにバカップルという言葉が似合うような仲だった。

育ての親である八島夫妻がザッハークに殺害された後、冬塚家に移る。
そこで涼子と再会し、少しずつ彼女と仲良くなっていった。
しかし、その年のクリスマスに柿澤らの手によって連れ攫われる。

数年後、霧島によって助け出されるも、「妹たちを守って」という願いを告げて息を引き取った。


幸町孝也 (ゆきまち たかや) 【人名】
朝月町の片隅に診療所を構える闇医者。
霧島の同級生で、彼とはその頃から親友関係にある。
霧島を経由して榊原と知り合い、その縁から吉崎、梢とも知り合うことになる。

穏やかな性格の眼鏡青年。
闇医者などという物騒な肩書きよりも、保育士さんを名乗らせた方が似合いそうな雰囲気の持ち主。

魔術師を名乗れるほどではないが、多少魔術を扱うことは出来る。
魔術関係の知識は非常に豊富で、新型の魔術道具を作るのが趣味。
ヴィリをヒントに、梢の「魔を払う光の大樹(ヘイムダル・グリーン)」を作り上げた。
彼が魔術に関わるようになったのは、本人曰く「優香が原因」らしい。

本編中は、すぐに怪我をする梢の治療役として地味に活躍した。
おそらく彼がいなければ、梢は途中で力尽きて命を落としていただろう。
また、霧島の身体の代替物を用意し、度重なる手術を行って彼の延命に努めてきた。
梢や霧島に対しては、医者として幾度となく忠告をしてきている。
が、両名とも聞き入れる性格ではないので、彼は影で溜息をこぼしているのだとか。

どういった縁があったのかは不明だが、冬塚夫妻の研究室の管理をしている。
おそらく夫妻とは、霧島を経由して多少の親交があったのだろう。


吉崎和弥 (よしざき かずや) 【人名】
梢の親友兼相棒。
榊原の三番目の弟子。

普段はおちゃらけた言動を取っているが、根っこのところでは非常に真面目。
無茶ばかりする梢の抑え役を長年務めてきたからか、割とリアリスト。無理なことはしたくない主義。
それでも困ってる人がいると、多少の無茶をしてでも助けてしまう。要するに良い人。
両親とは別居中。仲が悪いわけではなく、仕事の都合で両親が遠方に引っ越すことになっただけである。
吉崎は梢や美緒を放っておけないと思い、一人秋風市に残留することを決意したのだとか。

倉凪兄妹とは十年ほど前に知り合った。
梢に少し遅れて榊原に弟子入りし、それ以降はほとんど家族同然の付き合いをしてきた。
梢と組んで悪党退治などをやったりもするが、普段は美緒と一緒に行動することも多かった。
ちなみに、美緒の想いには薄々感づいていたと思われる。

霧島の影響なのか、バイクマニア。
梢と行動するときのために愛車を改造し、モンスターマシンへと変貌させてしまっている。
またパソコンにも精通しており、情報収集技術は大人顔負けのレベル。

周囲が尋常ではない連中ばかりなので目立たないが、普通の人間としてはかなり強い部類に入る。
border breaksでは、榊原から貰った炎銃ヴィリを用いて戦った。
ザッハークに対し孤軍奮闘、駆けつけた梢と共に一矢報いた。その際に梢を庇って死亡する。

実力差という点において、異法人と普通の人間の間に大きな壁があることを示した人物。
が、それと同時に、両者の間にある心の壁を打ち破った代表的人物でもある。
彼がいなかったら、border breaksは大分違った物語になっていただろう。
そういう意味では、メイン四人や霧島と同等の重要キャラクター。


脇坂宗光 (わきさか むねみつ) 【人名】
赤間カンパニーの社長。
でっぷりと肥えた身体つきの、ぎらぎらとした野心を感じさせる男。
零次は彼のことを嫌悪していた。

物語の後半、牧島の手によって殺害された。