か行
柿澤源次郎 (かきざわ げんじろう) 【人名】
異法隊日本支部の代表者。
異法人にして魔術師。
悪人と言うより罪人。
物語における、黒幕。
零次の父、久坂源蔵の成れの果て。

異法は「不可視の引き手(インビシブル・プレッシャー)」。

支部の代表者だから本来の肩書きは部長。
しかしなぜか自他共に「隊長」と称している。
落ち着いた物腰と理性的な雰囲気の持ち主だが、実際のところ彼を突き動かしているのは感情に他ならない。

異法隊に入隊して間もなく、ザッハークと出会い、死闘を繰り広げた。
そこで実力を認められ、異法隊日本支部の責任者となる。
その頃、泉家の崩壊と同家の技術に目をつけ、それを利用して何か出来ないものかと考え始める。
同時期、ザッハークと契約を結んでいる。
間もなく遥の所在を見つけるのだが、その頃の彼女はまだ幼く、あまり利用価値がないと思ってそのままにしておいた(一応ザッハークに監視させていたが)。
その後八島優香の存在を知り拉致。彼女の実験を通じて"儀式"のことを思い立ち、それに遥を利用しようと考えるようになった。
ただ、泉家の力を利用するつもりなら、彼はもっと早くに遥の身柄を確保しておくべきだった。
それをしなかったのは、側に置くことで彼女に情が移るのを恐れていたから。

考えれば考えるほど泥沼に落ちるタイプ。
自らの行いを『悪』と自覚しており、"儀式"を完遂させて死ぬ以外、自分に許された道はないと考えていた。

彼の最大の不幸は、理想を高く持ちすぎたこと。
自分の足元に残っていた小さな幸せに気づいていれば、違う道もあったのかもしれない。


影なる天使 (かげなるてんし) 【能力】
「影なる天使(セラフィック・シャドウ)」の項参照。


神裂 (かんざき) 【家名】
魔族と呼ばれる者たちと敵対する退魔組織の一角。
日本における退魔組織の最大派閥は「退魔九裁」と呼ばれる九つの家で、神裂はその第三位。

border breaksでは、ザッハークとの最終決戦に参戦。
特に描写されていないが、ザッハーク包囲網で縦横無尽の大活躍をしていたと思われる。


奇形 (きけい) 【能力】
「奇形(フリーク)」の項参照。


儀式 (ぎしき) 【用語】
柿澤が行おうとしていた、魔術による大儀式のこと。
彼は他人と内面を共有するという遥の力「リンク・トゥ・ハート」を利用し、人類全体が共有する集合的無意識(魔術師たちはこれを源泉と呼ぶ)にアクセス。そこから、普通の人間が異能の者に抱く恐怖や憎悪などを取り除こうとしていた。
また、ザッハークのような力を悪用する者たちの精神にも手を加えようとしていたらしい。
おそらく精神を破壊しようとしていたのだろう。

微々たるものとはいえ、人類全体に影響を与える極大魔術。
柿澤が泉家の資料から独自に編み出した術式を用いて行われる。
儀式に必要なものは、まず媒体として遥。そして彼女の能力範囲を拡大するための、数千数万の脳。
この脳は研究機関の研究者たちのものを使っている。
最後に、儀式を発動させるための膨大な魔力。
並の魔術師数千人分の魔力が必要なので、普通に考えれば儀式の実行は不可能である。
柿澤はこの点をザッハークに担当させることで解決した。

あまりにも大規模な魔術であるため、柿澤は発動者と媒体が儀式発動後数十秒で命を落とすと見ていた。

柿澤を裏切ったザッハークが発動させた際には、多くの悪意が遥の中へと流れ込んだ。
これは憎悪に生きた研究者たちの脳が使われていることによる影響である。

梢と涼子の呼びかけに応じ自らの明日を望んだ遥によって、強制的に終結させられた。


狐火 (きつねび) 【地名】
朝月町の市街地にあるスナック。
ここの地下に研究機関の施設が隠されていた。

零次たちの襲撃以降、閉店したと思われる。


強化人間 (きょうかにんげん) 【用語】
研究機関によって生み出された思考なき戦闘人間。
個体毎に様々な外見を持っているが、力のみを追求して作られているため醜悪な姿の者が多い。
素材となっているのは人身売買や誘拐などで機関が手に入れた人間である。

身体能力は高く、強化人間一体がいれば獅子一頭に対抗出来る。
異法人と比べるとやや力は劣るものの、数の多さは脅威。


霧島直人 (きりしま なおと) 【人名】
異法隊隊員。
悲しき復讐者。
いき過ぎた男。
兄貴。

異法は「モルト・ヴィヴァーチェ」。

飄々とした性格で、面倒見の良い男。
異法隊日本支部では零次や矢崎兄弟と共に戦闘班を組む。
隊員たちの中では年長者。そのためまとめ役兼ムードメーカーとして彼らを支えていた。
異法隊には自らの意思で入隊。ほとんど隊員間の交流がなかった日本支部の雰囲気は、彼が加わったことで大分改善されたという。
不真面目な言動を取ることが多いが、時折鋭い意見を発することも。
刃や柿澤は彼の本質を多少理解していたらしく、只者ではないと評していた。

かつては榊原の一番弟子で、梢たちの兄貴分でもあった。
七年前、ザッハークらに恋人である八島優香を奪われ、以後ずっと彼らと戦い続けてきた。
優香の最期を看取る際「妹たちを守って」と頼まれ、その約束を果たすために遥の行方を捜し続けていた。

長期に渡る過酷な戦いのため、その身体はボロボロの状態。
身体の大半を代替物に置き換えることで無理矢理延命し続けており、本編開始時には既にそれすらもが限界に近かった。
そんな中、ついに遥を発見。梢の正体を知っていた彼は遥の所在を早々に知り、時折様子を見ては彼女を狙う不審な影がないかと探っていた。
同時期、涼子の護衛を任される。彼女の過去を探す手伝いをするが、危険に巻き込ませまいと肝心な情報は与えなかった。

border breaksの裏主人公とも言えるキャラクター。
第一部では復讐者としての面が強かったが、今回は「守れなかった最愛の人との約束を果たすため」に戦う男に。
メインキャラのほとんどと絡みがあり、事件の真相に近い場所にいるため後半になると出番が急増。
最終決戦における彼の行動は、梢たちの勝利に大きく貢献した。

最期に見た笑顔は、彼にとってなによりの救いとなったのではないだろうか。


久坂郁奈 (くさか いくな) 【人名】
零次の妹。
故人。

割と大人びた子で、迫害される兄・零次をよく慰めていた。
自らも兄への攻撃の余波で少なくない被害を受けているが、彼を恨むような言動は一切なかった。
迫害され続けた久坂家の精神的支えとなった少女。
最後は雪山で、静かに息を引き取った。


久坂源蔵 (くさか げんぞう) 【人名】
零次の父親。
柿澤源次郎の本名。

若い頃は息子同様、悩み多き青年だった。
当時から異能の者と一般人の確執を多く目にしてきており、彼自身問題の渦中に身を投じたことも何度かある。
争いを好まない性格で、平和的な手段で自分たちの存在を人々に認めてもらえる方法がないか模索し、その中で出会った女性と結婚した。
彼女との間には二人の子供が生まれた。この頃が、彼の生涯でもっとも幸せな時期だっただろう。

零次が自らと同じ異法人であることに気づき、その将来を憂いた彼は家族の元を離れた。
異法人が安らかに、そして正しく生活出来る場所を探す、もしくは作ろうとしたのである。
別れ際、彼は妻にその決心を告げ「必ず迎えに来る」と言い残して旅立った。
皮肉にも彼がいなくなった直後から零次の能力が本格的に目覚め始め、残された家族は迫害を受けるようになっていく。
家族と連絡がつかなくなった彼は、家族が待っているはずの場所へ向かう。
しかしそこにあったのは、無残なまでに荒れ果てた無人の我が家だった。

それ以降、彼は久坂源蔵であることを止めた。
その後の彼については、柿澤源次郎の項で。


久坂守子 (くさか もりこ) 【人名】
零次の母。
本編執筆中、名前はなかった。この用語集を作る際、彼女の項目を作ろうと思ったのだが、久坂家で一人だけ名無しなのは気の毒と思い、慌てて名前をつけた。……気の毒という点ではあまり変わらないかもしれない。

夫が留守にしている間、家族を守ろうと決心し、その為に辛い日々を歩むことになった女性。
第一部とborder breaksでは大分印象が違って見えるが、実際彼女の性格などはさほど変わっていない。
第一部の彼女は最期の最後で本音の一端が出てしまっただけである。どちらの物語でも、零次を最後まで捨てたりはしなかった。
本来は異法人を始めとする異能の存在の良き理解者だった。夫が異法人であることを知りながら、彼女は躊躇うことなく結婚に踏み切っている。
次第にエスカレートする迫害によって心身ともに追い詰められ、最後は雪山で息を引き取った。


久坂零次 (くさか れいじ) 【人名】
border breaksにおけるキーパーソン。
異法人。
異形の悪魔。
心弱き戦士。

異法は「影なる天使(セラフィック・シャドウ)」。

かつて異法隊日本支部に入隊するも、問題を起こして海外の支部に移動。
その後各地で確実な成果を挙げ、本編開始の少し前に日本へと戻ってきた。
戦闘経験が非常に豊富。異法隊全体の中でも上位に位置する力の持ち主で、エースと称されている。
普段は冷静沈着に物事を判断し様々な状況に対応してのけるが、一旦心が乱れると立ち直るのに時間を要する。

幼少時、自分の力のせいで迫害を受け、そのことが原因で母と妹を死なせてしまった。
傷ついた彼は異法隊に入隊。その後涼子と出会い初めての友達を得ることで多少救われる。
しかし力の暴走によって彼女を傷つけてしまい、それ以来他人との接触を極力避けるようになった。
そうした過去の影響か、自分の異法、特に翼の部分を忌み嫌っている。
また、そうした力を悪事に利用する者を嫌悪する傾向が非常に強い。

大きなトラウマを二つ抱えているせいか、考えれば考えるほど絶望するネガティブ男。
他人との接触を恐れている面があり、そのせいか自分一人であれこれと決めてしまいがち。
希望を失うことの悲しみをよく知っているため、臆病になってしまった。
それでも涼子という希望を諦めきれず、最後は彼女のために忌み嫌う力で戦うことを決意する。

他人との接触を最小限に抑えてきたため、対人関係を築くのが下手。
本人は真摯に接しているつもりだが、相手を怒らせてしまうことが多い。

傷つくことを恐れ、自ら境界の内側に閉じこもってしまった少年。
それを打ち破り、彼は自らの道を歩み始めた。
その先に何が待っているのかは、また別の物語で。
零次


草の創生 (くさのそうせい) 【能力】
「草の創生(グラス・クリエイション)」の項参照。


草野郎 (くさやろう) 【俗称】
梢のこと。
異法隊の面々がまだ梢の名前を知らなかった頃、彼が植物を使っていたことからこう呼んでいた。
矢崎兄弟や赤根が言うのは自然なのだが、零次や藤村がこう言うと何か違和感が。


草の創生 (グラス・クリエイション) 【能力】
倉凪梢の異法。
魔力で構成された架空の植物を生み出す力。
この能力によって生み出される植物は本物のことではなく、植物の属性を持つもの全般。
そのため形や大きさは梢が自在に変えることが出来る。
ただし本来在るべき植物からかけ離れていくと、生み出すための消費魔力、難易度などが上昇していく。

これ自体はあまり戦闘向けの力ではないが、割と幅広く応用を利かせることが出来る。
植物属性を持っているため、炎の攻撃には非常に弱い。

「翠玉の篭手(エメラルド・ガントレット)」はこの力の応用。


倉凪沙羅 (くらなぎ さら) 【人名】
梢、美緒の母親。
彼らが幼い頃、夫の後を追うような形で病没する。
梢は父に憧れ、美緒は両親のことをほとんど覚えていない。そのため今一つ影が薄い。

倉凪というのは元々彼女の姓であり、梢たちがたらい回しにされたのは彼女の親戚筋。
司郎と駆け落ち同然の結婚をしていたので、親族とは絶縁状態にあった。
梢たちが冷遇されたのは、そういった事情も関係している。


倉凪梢 (くらなぎ しょう) 【人名】
border breaksにおけるヒーロー。
異法人。 
草の使い手。

異法は「草の創生(グラス・クリエイション)」。

単純馬鹿な高校三年生。朝月学園在学。
クラスは3−Aで、吉崎、藤田、斎藤らと共に四天王と呼ばれている。
また、生徒会の副会長も勤めており、教師や生徒の人望は割と厚い。

両親の死後、親戚筋をたらい回しにされた過去を持つ。
その間、異常な力を持っていることなどが原因で虐待を受け続けていた。
当時の傷跡は今でも残っており、その痛々しさは見る者を絶句させる。
彼自身は、虐待の手から妹を守れたことに満足しており、その傷を名誉としている節がある。

誰かのために戦うことを本懐とするお節介焼き。
己の力を他人のために役立てることに自分の価値を見出している。
吉崎と組んで深夜に悪党退治などをしていたらしい。それには時折榊原も関わっており、非公式ではあるが、何人もの凶悪犯を捕らえた実績を持つ。

榊原に引き取られてから家事全般を取り仕切るようになる。
料理はかなりの腕前で、昔は涼子に色々と教えていた。

榊原が師範を務める武術『天我不敗流』の二番弟子。
梢の戦い方の基礎は、この武術による影響が大きい。

第一部よりも出番は減ったが、border breaksでも美味しいところはきっちりと持っていく。
今後彼がどうなっていくのかは、また別の物語で。
梢


倉凪司郎 (くらなぎ しろう) 【人名】
梢、美緒の父親。
秋風署に勤めていた刑事。
榊原とコンビを組んでいた。
梢たちが幼い頃に殉職した。

border breaksでは出番なし。
梢に強い影響を与えた人物。
また、榊原にも少なくない影響を与えている。
倉凪は妻の姓であり、結婚前に彼がどのような名を名乗っていたかは不明。
というより、生い立ちを始めとする正確なプロフィールの大半は不明である。


倉凪美緒 (くらなぎ みお) 【人名】
梢の妹。
兄とは違い、正真正銘普通の人間。
昔は人見知りをする引っ込み思案な性格だったが、今は騒がしいトラブルメーカー。
楽しいことが大好きで、よく色々な企画を思いついては周囲の人々を巻き込む困った子。
ただし本質的なところは昔と変わっておらず、無茶をする兄たちのことを影で心配している。

物心ついた頃、既に両親はおらず、兄と共に親戚筋をたらい回しにされる日々を過ごした。
梢が庇い続けたことで彼女自身は虐待されなかったが、そのことで梢に対する引け目を感じ続けている。

学校では涼子と仲が良く、互いに親友と呼び合っている。
周囲からの人気は高く、他にも大勢の友人がいる。ただ、その扱いはアイドルというよりマスコット。
男女問わず幅広い交流関係を持っているが、告白されたことは一度もない。

涼子ぐらいしか気づいていないが、吉崎和弥のことが好き。
恋愛に関しては奥手で、結局その想いを彼に伝えることは出来なかった。


契約者 (けいやくしゃ) 【俗称】
ザッハークが度々口にする存在。

その正体は柿澤源次郎。
ザッハークと契約を交わしたため、このように呼ばれている。
契約の具体的な内容は定かではないが、「世界を変革するために協力する」といったものだと思われる。


撃滅の一撃 (げきめつのいちげき) 【能力】
「撃滅の一撃(ディストラクション・ブロウ)」の項参照。


研究機関 (けんきゅうきかん) 【組織】
異能の者に対抗する力を研究する集団の総称。
いくつもの研究施設が一人のスポンサーを中心に活動しており、横の繋がりは皆無。
元々複数の組織だったため、正式名称というものはない。
構成員は皆異能の者による被害者であること、被験体を求めて人身売買などを頻繁に行っていることなどは各施設共通。
施設毎に研究方針は異なっているが、強化人間の製造はどの施設でも行われている。これは、強化人間を開発していた施設が数年前に滅び、その資料をスポンサーが回収し、各施設に配布したからである。

遥を捕らえていた施設は、彼女の力を量産化することを目的としていた。
そのため様々な角度から実験を繰り返していたが、魔術に関する技術がほとんどなかったため、最後まで成果を挙げることは出来なかった。
梢により遥を奪還され、異法隊により研究員たちは捕獲。後に柿澤源次郎の手で、あの脳味噌通路に並べられることになった。

スナック『狐火』の地下にあった施設では、強化人間を進化させることを目的としていた。
その過程で強化人間の完全支配に成功。しかし異法隊の手にかかり壊滅、彼らもまた柿澤によって脳味噌の一員に加えられた。

牧島らが所属していた施設では、強化人間の技術と魔術を組み合わせた新型の開発に成功。それがフリークである。
スナック『狐火』の地下施設にあった強化人間のコントロール技術をスポンサーから得て、遥の奪取に成功。
フリークの力と合わせて更なる研究を行おうとしていたが、用済みと見なされ、フリークを除く全研究員がザッハークに殺害された。

また、藤村を生み出した施設は柿澤によって滅ぼされている。
その原因は不明だが、彼の逆鱗に触れるようなことでもしていたのだろう。

主人公たちが異法人であるため、それに敵対する彼らはどうしても悪役にならざるをえない。
やっていることはとても許せるものではないが、彼らがそこまでする理由は一応ある。
本作ではこのような形になったが、いつかは逆の構図を書いてみたい。
————極悪非道の異法人、立ち向かうは無力なれど意志強き人間。
……既に本作でそういう場面があったような。


幻想焼却 (げんそうしょうきゃく) 【能力】
「幻想焼却(マジック・ヴェイパー)」の項参照。


幻脈 (げんみゃく) 【用語】
魔力の素が流れている部分のこと。
幻脈が集中している部分からは大量の魔力素が溢れ出しているため、魔力生成に非常に適している。
ただしやり過ぎると魔力素が減少するので注意が必要。無制限に溢れ出てくるわけではない。


五金万象 (ごきんばんしょう) 【能力】
「五金万象(ハンディ・メタル)」の項参照。