は行
(はるか) 【人名】
border breaksにおけるヒロイン。
本名、式泉遥。
優香の妹で、涼子の姉。

子供らしい無邪気な性格をした少女。少々天然ボケ。
研究機関に軟禁されていたところを梢に助けられた。
その後、彼の勧めもあって榊原家に居候をすることになる。

リンク・トゥ・ハートと呼ばれる魔術を使う。
そのため機関の人間には「リンク」あるいは「リンク・ハート」などと呼ばれていた。

物心ついた頃には既に軟禁されており、人間ではなく単なる道具として扱われていた。
人とのコミュニケーションをほとんど取っていなかったため、昔は痛みや苦しみの意味さえ理解出来ず、ほとんど人形のような状態だった。
ある少年と偶然出会うことで、彼女はようやく感情を持つに至る。
彼女が実年齢よりも子供っぽいのは、そうした特異な環境で育てられたことに関係している。

その境遇や経歴は不幸としか言いようがない。
現状を打破する力もなく、助けを差し伸べる相手すら周囲にはいなかったのだから、救いようがない。
異能の者と人間との憎しみ合いによる被害者代表とも言うべき少女。
梢と出会うことがなければ、彼女は道具としてその一生を終えていたかもしれない。

あまりそうは見えないが、芯の部分は強い。
自ら囮を申し出たり、美緒を助けるために迷わず身を差し出したりしている。
儀式発動時は自らの意志で「人」として生きることを選び取り、溢れ出しつつあった集合無意識を封じ込めた。
最終決戦では皆の魔力を梢たちに送り届け、涼子と共にヴィリで三頭の大蛇のうち一頭を倒した。

本編終了後、榊原家の養女となり、正式に家族として迎え入れられる。
ようやく最初の一歩を踏み出した彼女がどんな道を行くのかは、また別の物語で。
遥


五金万象 (ハンディ・メタル) 【能力】
矢崎亨の異法。
五金(金・銀・銅・鉄・錫)を自在に操る力。

球体にして遠隔戦も可能、武器に変化させて近距離戦も可能と、バランスのいい力。
亨本人との相性が性能に影響している。擬態化、強化、操作が可能。
具現化した金属ではなく、亨が常に持ち歩いている実際の金属を使っている。
実物の金属がなければ使えないが、その分能力行使に必要な魔力量は少ない。

各金属の特徴は以下の通り。

金(黄金)/擬態化しやすく、操作しにくい。主に近距離で扱う武具に擬態化させている。
銀(白金)/強化しやすく、擬態化しにくい。戦いの最中に使う場合は単純な武器に擬態化させて使う。
銅(赤金)/擬態化、操作性が抜群。ただし強化しにくい。
鉄(黒金)/強化、擬態化、操作ともにバランスが取れている。亨がもっとも好んで使う。
錫(青金)/操作しやすく、強化しにくい。戦闘ではあまり有用ではないため、ほとんど使われることはない。


非情事態 (ひじょうじたい) 【その他】
border breaks第四十一話のタイトル。
誤字にあらず。
……いや、本当に。


不可視の引き手 (ふかしのひきて) 【能力】
「不可視の引き手(インビシブル・プレッシャー)」の項参照。


藤田四郎 (ふじた しろう) 【人名】
梢のクラスメートで親友。 
野球好きの熱血馬鹿。梢、吉崎、斎藤らと共にクラスの四馬鹿、あるいは四天王などと呼ばれている。
少し成績が悪いこと、運動神経が良いことを除けば極普通の高校生。

日常側のキャラクターなのであまり出番はない。
吉崎の死がきっかけで今回の事件に関わることになり、斎藤と共に連絡員として梢に協力した。 
出番や活躍はほとんどなかったが、梢の正体を知りながらも受け入れたという点では、彼もまた境界を突破した一人と言える。


藤村亮介 (ふじむら りょうすけ) 【人名】
異法隊隊員。
唯一異法人ではない隊員。
柿澤源次郎の補佐役。

能力は「思い出の映像劇(メモリアル・ムービー)」。

人当たりのいい青年で、隊内では一番の人格者。
気配りが出来て話題も豊富、真面目で誠実な爽やか青年である。
戦闘能力が低いため、あまり危険な任務に就くことはない。

研究機関によって人工的に生み出された存在。試験体0065号。
精子と卵子の提供者はいるが、親といえるような存在ではない。
当時最高の技術で作られた、人型魔術道具。
その技術には、泉家のものが多少交じっている。

遥と似た境遇で育ち、死にかけていたところを柿澤に助けられ、初めて「生きる」ことを知った。
以降彼に忠誠を尽くすようになるが、柿澤の計画を聞かされてからは深い葛藤に苛まれていた。
ちなみに彼が計画のことを聞かされたのは、涼子が柿澤に議論を申し込む少し前。
それまで彼は他の隊員同様、何も知らされてはいなかった。

余談。
リメイクするにあたり、登場人物が男ばかりである点に気づき、一時期彼を女性にしようかと本気で悩んだ時期があった。
もし実現していたら男装の麗人になる予定だった。表向きは藤村亮介、しかし本当の名は藤村亮子。
柿澤を敬愛し、彼のためなら全てを投げ打つ覚悟を持つ少女。
……実にベタベタである。しかも「りょうこ」という名前が被る。
それにそこまで設定を変えるとさすがにリメイクの範疇を越えてしまうという思いもあり、結局は没になった。
border breaksにおける最大の没ネタである。

リメイクによって生死が変わったキャラクター。
日本支部が活動を再開したら、彼は……やはり補佐役に落ち着いていそうな気がする。
ただ、一回りも二回りも成長しているだろうけれど。


冬塚研究室 (ふゆつかけんきゅうしつ) 【地名】
朝月町の図書館地下に隠されている研究室。
元々は式泉家が使っていた隠し研究室で、冬塚夫妻はそれを受け継いで利用していた。
扉は魔術式で封じられており、対応した魔術を使わないと開かないようになっている。
二台のデスクに十の本棚、研究用の小さな魔方陣などがある。
本棚には泉家に関わりのある魔術家の著作が並べられている。
研究室の奥には給湯室なども置かれており、その気になれば一月は缶詰状態でいられるのだとか。

夫妻の死後は幸町が管理をしている。

涼子はここで自分と遥の関係を知った。


冬塚水穂 (ふゆつか みずほ) 【人名】
涼子の養母。
かつて涼子の実家である式泉家に仕え、同家が崩壊した際に涼子を連れて落ち延びた。
市井に身を潜ませてからは、母親として涼子のことを温かく見守り続けていた。
八島家と密かに連絡を取り、行方不明となった遥を助けようとしていたようである。

式泉家に代々仕えていた家の生まれ。
魔術の心得があるが、腕前は並。あまり戦闘向きの力は持っていなかったようだ。

涼子や優香を守ろうとザッハークらに抵抗するも、柿澤源次郎によって圧死させられた。


冬塚雪夫 (ふゆつか ゆきお) 【人名】
涼子の養父。
式泉家が崩壊した際、水穂と共に涼子を連れて落ち延びる。
その後は父として涼子のことを見守り続けていた。

妻である水穂とは違い、元々は魔術と何の関わりもない一般人だった。
幸町曰く、「魔術師ではなく純粋な研究者だった」。
自分の命が長くないことを悟っていたらしく、自らの研究室に娘への手紙を残した。

涼子や優香を守ろうとザッハークらに抵抗するも、柿澤源次郎によって圧死させられた。


冬塚涼子 (ふゆつか りょうこ) 【人名】
border breaksにおけるメイン・キャラクター。主人公とも。
本名、式泉涼子。
優香、遥の妹。

人当たりの良い性格の少女。親しい相手には悪魔っ子の面を見せることもある。
根は真面目だが融通が利き、頼りがいがあるうえに成績は学年首席。一言で表すと優等生。
梢に鍛えられた影響で料理の腕前も良い。和洋中どれでもいけるが、一番得意なのは中華。
幅広い交流関係を持っている。美緒とは特に長い付き合いで、お互い親友と呼び合っている。
運動神経があまり良くないのが欠点。

家族を七年前に失っており、その前後の記憶がない。
普段意識の片隅に追いやられていたその違和感は、零次との再会によって大きく揺れ動く。
その後、研究機関に狙われたところを異法隊に助けられ、以降非日常の世界へと身を投じることになった。
border breaksでは、彼女の失われた記憶が物語における重要な軸になっている。

超人たちが飛び交う物語のど真ん中を駆け抜ける一般人。
一応魔術師の家に生まれているが、それらしい力は持っていないように見える。
彼女が一般人だからこそ、border breaksの物語は成立しているとも言える(生粋の一般人ではないけれど)。
過去と今、梢たちと異法隊、自身と零次などの間にある境界線を打ち破った。

第一部ではヒロイン役で重要な位置にいるキャラクターの予定だったのだが、ろくに出番もなく本編終了。
その後日常編を執筆していくうちにキャラクターが掴めて来たためborder breaksで再挑戦。
何度か書き直すうちに「ヒロインじゃなくて主人公らしく書いてみよう」としたところ、これが個人的に大ヒット。
中盤から後半にかけては、第一部で主人公だった梢や零次を押しのけて話の中心に居座る程に。
さすがに戦闘ではほとんど活躍していないが、一応最終決戦では遥と共に三頭の大蛇のうち一頭を倒している。

border breaksは彼女の物語と言っても過言ではない。

今後彼女がどのようなことになるのかは、また別の物語で。
涼子


奇形 (フリーク) 【能力】
牧島裕一の能力。
また、彼自身のことを指して使われることもある。
キャラクターとしてのフリークは「牧島裕一」の項参照。

自身の身体を変幻自在に変化させる力。
手足を伸長させたり、別人に化けたりすることが可能。
また、どれだけダメージを負おうとも即座に回復する。
その回復力は尋常ではなく、刃の攻撃で粉塵と化した状態からも復活してのけた。

……というのは表向き。
実際は相手に幻覚を見せる魔術と、身体をある程度変化させることが出来る力の複合能力。

幻覚魔術は非常に強く、恒久的に効果が続くタイプ。
その性質は「誰も牧島を正確に認識出来ない」というもの。
相手が幻覚の牧島に意識を向けている間に、脇から本物が相手を攻撃するのが基本戦法。
幻覚は自動で生成され勝手に形状変化・動作を行うため、牧島自身は自由にすることが出来ない。
また、幻覚と本物は数メートル程度しか距離を置くことが出来ない。
他にもいくつか制約があるらしいが、詳しいことは不明。
強力な分魔力消費量が凄まじいため、普通の者がこの力を使えば数分しか効果が続かない。
牧島がこの力の被験体になったのは、彼の魔力生成力が桁外れだったからである。

攻撃は身体変化の力で手足を硬化・変形させて行っている。
この身体変化能力は、幻覚がやっている程変幻自在に好き勝手出来るレベルではない。
強化人間技術の応用で、身体の一部が形状変化しやすいよう改造されているだけ。

とにかくややこしく把握しにくい能力。
ある意味「奇形(フリーク)」の名に相応しいと言えなくもない。
しかし、もう少し分かりやすい力に出来なかったものだろうか……(反省)。


魔を払う光の大樹 (ヘイムダル・グリーン) 【能力】
梢の義腕に内包された力。魔術に分類される。
幸町がヴィリの「幻想焼却(マジック・ヴェイパー)」を参考にして作り上げた。

梢の意志に応じて、魔力の性質を無にする光を放つ力。
性質を失った魔力は抵抗力が零となり、簡単な攻撃で霧散するようになってしまう。

魔力によって構成されたものを討ち滅ぼすことに特化した能力。
ただ、魔力によって引き起こされた現象に対してはあまり役に立たない。

魔力そのものを使って戦うザッハークにとっては、天敵と言える能力である。
逆に言えば、ザッハークのような相手以外には多少厄介な程度。

また、梢がこの力を使うと、自分の魔力を他人に分け与えるという効果も発生する。
これは幻想による光に、植物の性質を持った梢の異法が反応して起きた現象。
幸町曰く「光合成のようなものです」。

実は名前を考えるのに苦労した能力。
これを考えるだけで半日が終了してしまった。
「翠玉の篭手(エメラルド・ガントレット)」の反省を生かし、言いやすく意味のある名前にしようと狙ったつもり。
ヘイムダルは北欧神話において光の神とされる存在。グリーンは梢のイメージカラー。
当て字は能力の性質を考慮し、それなりに読みと関わりのあるものを。
苦労して考えたので、作者としてはそれなりに愛着のある名前。


border breaks (ぼーだーぶれいく) 【その他】
本作のサブタイトル。
第一部のリメイク版。やり直しの第一歩。

第一話から第十話を何度も書き直したせいか、完結するのが当初の予定より大分遅れた。
第一部終了時からリメイクの予定はあったのだが、それからおよそ二年かけてようやく実現したわけである。
どれだけ遅筆なんだ、俺。

後半になるにつれて一話毎の長さが増していくのが特徴。
長い長い最終話を書き終えて軽い気持ちでエピローグを書いていたら、それすら30KBを突破する始末。
一話の平均容量が15KB前後だった第一部とは比べ物にならない。
第一部の本編総容量は754KBだが、border breaksは1.34MB。凄まじい差である。

リメイクしただけあって、第一部よりは満足のいく出来。
それでも不満点は跡を絶たず、自分の未熟さを思い知らされる結果になった。
……けど、さすがにもう二〇〇三年の物語を書き直すつもりはありません。