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この国のかたち/四

 再び統帥権の話が出てくる第四巻。相変わらず、統帥権及び昭和の軍事政権への批判は凄まじい。「坂の上の雲」の乃木希典への批判と言い、明治以降について触れるときの司馬さんの文章は鬼気迫るものを感じます。「ローマ人の物語」において塩野さんがタキトゥスについて語るくだりで「その時代への怒りが創作意欲を掻き立てる場合もある」というようなことを述べていたような気がするんですが、それを思い出します。
 その陰に若干薄れがちですが、司馬さんの感心は「統帥権」の他、「室町の世」にも割合向けられているんじゃないかな、という印象があります。
 足利政権に対しては「政治的でない」と評する一方、その下で発展しつつあった百姓たちには非常に暖かな視線を向けているような気がします。
 特に印象深かったのは「白石の父」でしょうか。素朴な人物の中から時代に匂いを感じられる、面白い話です。

この国のかたち〈4〉 (文春文庫)
この国のかたち〈4〉 (文春文庫)司馬 遼太郎

文藝春秋 1997-02
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おすすめ平均 star
star昭和の戦争に対する司馬の見方を明確に示していて興味深い
star統帥権に対する認識の甘さ
starこの国とはどこの国なのだろう?

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