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ローマ人の物語/ネロ

 今日も今日とて読書の秋。ローマ人の物語、今回はアウグストゥスの築いた平和が崩れるところ。『暴君ネロ』のお話です。
 読んでいてまず感じたのは、塩野さんのセネカに対する厳しい姿勢。一方的に叩いているというわけではありません。評価すべきところは評価してます。しかし、その評価する際の姿勢が厳しいなぁ、と。
 私はまだ知識人というものがよく分からないので、セネカのような人物はどう評価すればいいのか迷ってしまいます。クラウディウスへの仕打ちは個人的に嫌いなんですが、あれも政治的な意図があったわけですし……。
 で、肝心のネロ。キリスト教を弾圧したということで、現在に至るまで大悪人とか暴君といった印象が強い人物。
 この物語では『空気の読めない若者』というように描かれていたかな、と。あと若気の至りが非常に多いです。若き皇帝ということで共通しているカリグラと異なるのは、善政を多少なりとも行っていたという点。意外ですが、やるべきことはそれなりにやってるんですね、彼。ただ、それ以上に余計なことやって、獲得した支持率を尽く失っていくという。
 あと彼の問題点は、皇帝でありながら、それとは全然関係ないことに力を入れすぎたという点。皇帝という立場から離れて一人で何かするならいいんですが、彼は自分の趣味嗜好を皇帝という立場のままでやってしまった。公私混同と言っていいのかどうか分かりませんが、そういうことばかりやってたら支持を失うのも当然かな、と。しかも、その支持率回復のためにキリスト教に濡れ衣着せて弾圧したもんだから……。
 行動力はありながらも、現実性がなく、視野が狭い。この物語のネロからは、そんな印象を受けました。
 健全な肉体に健全な精神が宿るとは言いますが、健全な愛情なくして健全な精神は成立しないんじゃないかな、と、カリグラやネロを見てると思います。

ローマ人の物語〈20〉悪名高き皇帝たち(4) (新潮文庫)
ローマ人の物語〈20〉悪名高き皇帝たち(4) (新潮文庫)塩野 七生

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