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ローマ人の物語/ティトゥス、ドミティアヌス、ネルヴァ

 なぜか読むのに時間がかかった「危機と克服(下)」。なんでだろう。
 今回はヴェスパシアヌスの後を継いだティトゥス、ドミティアヌス、ネルヴァまでを描いた物語。と言っても、ティトゥス、ネルヴァがあっさり亡くなっているので、実質この巻の主人公はドミティアヌス……とも言いにくいような。
 ローマ人の物語は個人よりもローマという国家に重きを置いて描かれており、人物に関しては比較的ドライに描かれていることが多い(カエサル辺りは個人重視になってましたが)のですが、ドミティアヌスに対する見方は、特にそれが顕著に表れていたような気がします。彼個人を描くのではなく検証する、といった方が正確でしょうか。そうした色合いが濃かったので、ドミティアヌスの治世には触れられていましたが、彼個人にはさほど触れられていないように思えました。まあ記録抹消刑になってる人なので(しかも古代)、個人を描くというのが非常に難しいというのもあるのでしょうけど。
 この巻での見所はティトゥス編の最後、彼に対する皮肉まじりの評。それと巻末におまけとして書かれていた詩人の物語の二点でしょうか。詩人の話は本編よりも面白く感じたかも。
 ネルヴァは本当に影が薄くて語ることがないなぁ……。


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