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この国のかたち/二

 その一と違って統帥権に始まる「昭和の軍事政権」への批判があまり見えない「この国のかたち/二」。内容は、江戸時代の藩の風習の話だったり、宗教(仏教や神道)的なものだったり、些細な文化の話だったり。個人的には、こういう話題の方が好みですね。
 日本人の精神というと、江戸時代の武士やその影響が見受けられる『武士道』を連想する方も多いかと思います。無論それを否定するつもりは私にもないですし、新渡戸氏の武士道は読み応えがあって優れた著作だと思います。ただ、それはあくまで日本人の辿ってきた歴史の側面であって、それが全てというわけではありません。一つの精神を題材とした作品も良いですが、本作のように、幅広い視野でまったりと『日本人』を眺めて見るのも良いのではないでしょうか。


この国のかたち〈2〉 (文春文庫)
この国のかたち〈2〉 (文春文庫)司馬 遼太郎

文藝春秋 1993-10
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 ついでながら、話にちょいと出たので私が読んだ『武士道』も紹介。大学の講義で用いたものです。
 この著作は、著者が外国人との対話において「日本は宗教もないのにどうやって道徳を学んでいたのか」と尋ねられたことがきっかけで書かれたものです。欧米諸国での道徳の基礎は宗教によるところが大きかったので、日本人というのは『世界』から見れば相当奇異に映ったのでしょう(一応日本にも神道や仏教はありましたが)。『武士道』とは、その問いかけに答えるために書かれた作品と言っても過言ではありません。
 単に『日本人はこうであるべきだ』とか『日本人はこうしてきた』で片付けることなく、自国や他国の様々なものを引き出し、比較検討しながら"武士道"とは何だったのか、というものを掘り下げています(武士たちの多くが持っていた何かを、新渡戸氏が煮詰めて結晶化したのが『武士道』という著作及び思想と称すべきか)。題材は一つですが、様々な視点からそれに臨んでいるという点は興味深く面白みがあります。
 ここで私が紹介するのは、大学の講義で使用した訳本です。他にも武士道はいくつか訳本がありますので、読みやすいと思ったものを選ぶのが一番だと思います。岩波版は、活字慣れしてない人にはちょっときついだろうし。


武士道 (岩波文庫)
武士道 (岩波文庫)新渡戸 稲造 矢内原 忠雄

岩波書店 1938-10
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