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蝦夷の英雄

 こんばんは、気づけばまたもや日記がご無沙汰になっている日暮でございます。気を抜いているとすぐに休日が終わってしまいますねえ。いろいろやるべきことはあるはずなのですが。


 さて、今日は久々に小説紹介でも。
 本日の小説は高橋克彦氏の「火怨―北の燿星アテルイ」。奈良時代と平安時代の境目辺りが舞台で、主人公は朝廷に抵抗する"蝦夷"のリーダー的存在、アテルイ。
 事の発端は、蝦夷たちが暮らす奥州で大量の金が見つかったことにあります。朝廷としては、仏像を造るために金は欲しいが、辺境の蛮族と見なしてきた蝦夷たちに頭など下げたくはない。ゆえに、軍事的手段で強引に奪うことを考えるようになり、それに蝦夷たちが抵抗するようになる、というのが物語開始前の主なあらすじです。
 アテルイはとある事情から、ばらばらだった蝦夷たちの各部族をとりまとめる存在となり、朝廷軍を相手に戦っていくことになっていきます。火怨の物語の大半は、この"戦い"で占められています。歴史小説というよりは軍記物語といった方が正確でしょうか。
 全体を通して綺麗にまとまっていて、つまらなくはありませんでした。
 ただ、個人的な好みには合わなかったかもしれません。歴史ものを期待していたので、物語の大半が戦(及びその準備段階)で占められていたのはかなり残念なところ。また、蝦夷側が主人公である以上、朝廷軍は敵役になるわけですが、大抵が小物臭丸出しなのも残念なところ。最大の敵として出てくる坂上田村麻呂以外は、全て彼やアテルイたちの引き立て役にしかなってない気がします。田村麻呂も、ちょいと蝦夷側にとって良い人過ぎるような。
 そして一番気になったのは、アテルイ側の軍師・モレの存在。三国志演義の諸葛亮をも上回るような凄まじい知略(というかほとんど予言の域では)もあって、圧倒的戦力差を考慮しても、最初からアテルイ側が一切負ける気がしません。なので、勝った時の達成感などが……。
 まあ、ここで挙げた「主人公側が超人的過ぎる」「敵側(田村麻呂除いて)に関する描写が薄い」「周囲が実際どういったものだったのか」という点は個人的趣向もあるので、そういう点が気にならない方にはお勧めだと思います。
 長所としては「アテルイたち主人公側の真っ直ぐさ」「全編通して感じられる力強さ」「正々堂々の武人田村麻呂」といった点でしょうか。
 ……そういや赤頭って結局どうなったんだっけ。


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